115A088第115回 歯科医師国家試験 過去問

全身管理医学・全身疾患

83 歳の男性。齲蝕治療を希望して来院した。糖尿病の既往がある。処置直前の 血糖値は134 mg/dL であった。生体モニタを装着後、齲蝕治療中に呂律が回らな くなり意識を失った。呼吸はあるが呼びかけに応答しないため救急対応システムに 出動を要請した。このときの生体モニタの写真 (別冊No. 34 )を別に示す。 次に行うのはどれか。 1つ選べ。

115A088の問題画像
解答・解説を見る

正解: a

正答

a

この問題のポイント

呼びかけに反応しないものの呼吸があり、生体モニタでも循環・酸素化が保たれています。救急要請後は、気道を保ち誤嚥を防ぐために回復体位とします。

解説

救急時は、原因を推測する前に意識、気道、呼吸、循環を評価します。本症例は意識を失い呼びかけに応答しませんが、呼吸があります。

画像の生体モニタでは、心拍数80回/分、血圧129/79 mmHg、SpO2 96%で、規則的な心電図波形が示されています。現時点で心肺停止や重度の低酸素血症を示す所見はありません。

反応がない患者に正常な呼吸がある場合は、救急対応システムを作動させたうえで、気道を確保しながら回復体位にします。側臥位にすることで舌根沈下を軽減し、嘔吐物や唾液が口外へ流れやすくなり、誤嚥を防ぎます。その後も呼吸と循環を継続的に再評価します。

糖尿病の既往はありますが、処置直前の血糖値は134 mg/dLです。低血糖を示す値ではありません。また、意識のない患者へ経口ブドウ糖を投与すると誤嚥する危険があります。

全身管理上の注意点
意識障害では原因診断より先に、気道・呼吸・循環の維持を優先します。正常呼吸が失われた場合は、直ちに胸骨圧迫を開始しAEDを準備します。

画像の確認

実画像では、生体モニタに心拍数80、血圧129/79 mmHg、SpO2 96%が表示され、II誘導心電図と脈波も規則的に描出されている。循環と酸素化が保たれ呼吸もある状況を示すため、胸骨圧迫や人工呼吸ではなく回復体位を選ぶ判断を支える。

選択肢の確認

a.回復体位の実施
正答。まず行います。
患者は呼びかけに反応しませんが呼吸があり、循環と酸素化も保たれています。気道開通を維持し、嘔吐物や分泌物の誤嚥を防ぐため回復体位にします。

b.胸骨圧迫の実施
誤り。
胸骨圧迫は、反応がなく正常な呼吸を認めない心停止患者に開始します。本症例では呼吸があり、心拍数と血圧も保たれているため、現時点で適応ではありません。

c.人工呼吸の実施
誤り。
人工呼吸は呼吸停止または換気不十分な場合に必要です。本症例では自発呼吸があり、SpO2も96%であるため、まず回復体位で気道を保ちます。

d.ブドウ糖の投与
誤り。
処置直前の血糖値は134 mg/dLで低血糖を示していません。さらに意識のない患者への経口投与は誤嚥の危険があります。低血糖が確認された場合でも、意識状態と投与経路を考慮して対応します。

e.アドレナリンの投与
誤り。
アドレナリンは心停止やアナフィラキシーなどで適応になります。本症例には心停止、重度低血圧、気道浮腫などを示す所見がありません。

覚えるポイント

  • 反応なし・正常呼吸ありでは、救急要請後に回復体位とします。
  • 反応なし・正常呼吸なしでは、胸骨圧迫とAEDを開始します。
  • 意識のない患者へ経口で糖分や飲料を与えてはいけません。

関連問題

115A087115A089
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)