38AM86|第38回 臨床工学技士国家試験 過去問
血管の力学特性について正しいのはどれか。 a.変形挙動は線形である。 b.ヒステリシスをもたない。 c.力学的等方性を示す。 d.エラスチンはコラーゲンよりも弾性率が小さい。 e.応力を負荷するとクリープ現象が生じる。
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正解: 5
正答
5
この問題のポイント
この問題では、血管壁の粘弾性、非線形性、異方性が問われています。
血管は、単純なゴム管ではありません。
血管壁には、エラスチン、コラーゲン、平滑筋などが含まれ、複雑な力学特性を示します。
正しい小項目は、d、eです。
解説
血管壁は、生体軟組織として次のような性質を示します。
- 非線形性
- 粘弾性
- ヒステリシス
- 異方性
- クリープ
- 応力緩和
低い圧力範囲では、主にエラスチンが伸展に関与します。
エラスチンは比較的よく伸び、弾性率が小さい成分です。
圧力や伸展が大きくなると、コラーゲン線維が引き伸ばされ、血管壁は急に硬くなります。
コラーゲンはエラスチンより弾性率が大きく、血管の過伸展を防ぐ役割があります。
問題文の小項目を確認します。
a.変形挙動は線形である。
誤りです。血管の応力-ひずみ関係は、一般に非線形です。伸び始めは柔らかく、伸展が大きくなると硬くなる性質を示します。
b.ヒステリシスをもたない。
誤りです。血管は粘弾性体であり、負荷時と除荷時で応力-ひずみ経路が一致しません。したがってヒステリシスを示します。
c.力学的等方性を示す。
誤りです。血管壁は、円周方向、長軸方向、径方向で構造や線維配向が異なるため、力学的には異方性を示します。
d.エラスチンはコラーゲンよりも弾性率が小さい。
正しいです。エラスチンは柔らかく伸びやすい成分で、コラーゲンは硬く強い成分です。したがって、エラスチンの弾性率はコラーゲンより小さいです。
e.応力を負荷するとクリープ現象が生じる。
正しいです。血管は粘弾性体なので、一定応力を加え続けると時間とともにひずみが増加するクリープ現象を示します。
ひっかけポイント
血管は「線形・等方性・ヒステリシスなし」の材料ではありません。
生体軟組織では、非線形性、粘弾性、異方性をセットで押さえます。
選択肢の確認
1.誤り。
選択肢1は a、b の組合せです。血管の変形挙動は非線形であり、ヒステリシスも示します。
2.誤り。
選択肢2は a、e の組合せです。eは正しいですが、aが誤りです。血管の変形挙動は線形ではありません。
3.誤り。
選択肢3は b、c の組合せです。血管はヒステリシスを示し、力学的にも異方性を示します。
4.誤り。
選択肢4は c、d の組合せです。dは正しいですが、cが誤りです。血管は等方性ではなく異方性を示します。
5.正しい。
選択肢5は d、e の組合せです。エラスチンはコラーゲンより弾性率が小さく、血管は粘弾性体としてクリープ現象を示します。
覚えるポイント
- 血管の変形挙動は、一般に非線形です。
- 血管は粘弾性体であり、ヒステリシスを示します。
- 血管壁は線維配向があるため、異方性を示します。
- エラスチンは柔らかく、コラーゲンは硬い成分です。
- 一定応力を加えると、時間とともにひずみが増えるクリープ現象が生じます。