37AM72|第37回 臨床工学技士国家試験 過去問
人工心肺を用いた体外循環の離脱において正しいのはどれか。 a.混合静脈血酸素飽和度が 60%以上である。 b.左房圧が 15 mmHg 以下である。 c.中心静脈圧が 15 mmHg 以上である。 d.脱血カニューレより先に送血カニューレを抜く。 e.ベンティングは継続する。
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正解: 1
正答
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この問題のポイント
この問題では、人工心肺を用いた体外循環から安全に離脱するための循環・酸素化・容量負荷の評価が問われています。
正しい小項目は、aとbです。
- a.混合静脈血酸素飽和度が60%以上である。
- b.左房圧が15 mmHg以下である。
解説
体外循環の離脱では、心臓と肺が人工心肺に代わって十分に機能できるかを確認します。
重要なのは、次のような項目です。
- 心拍リズムが安定している
- 血圧が維持できる
- 心拍出量が保てる
- 酸素化と換気が十分である
- 体温が適切である
- 出血や空気混入がない
- 前負荷と後負荷が適切である
混合静脈血酸素飽和度、SvO₂は、全身の酸素需要と酸素供給のバランスを反映します。低い場合は、送血灌流量不足、心拍出量不足、貧血、酸素化不良、代謝亢進などを考えます。離脱時には、少なくとも60%以上を目安に全身酸素供給が保たれていることを確認します。
左房圧は左心系の容量負荷を反映します。左房圧が高いと、左心不全や肺うっ血、肺水腫のリスクがあります。そのため、15 mmHg以下であることは離脱条件として適切です。
中心静脈圧が15 mmHg以上という記述は不適切です。高すぎる中心静脈圧は右心負荷、容量過多、静脈うっ滞を示すことがあります。
また、送血カニューレを脱血カニューレより先に抜くのは不適切です。送血路は循環補助や返血にも関係するため、離脱後の安定を確認し、施設手順に従って安全に抜去します。
ベンティングは、左心系の過伸展や空気除去のために使用しますが、離脱時に無条件で継続するものではありません。心拍出が再開した状態で過度に継続すると、左室容量を過剰に抜いて循環を不安定にする可能性があります。
臨床工学技士としての注意点
人工心肺離脱では、送血流量を下げながら、血圧、心拍出、SvO₂、動脈血ガス、左房圧、中心静脈圧、尿量、体温、心電図を同時に確認します。離脱は「ポンプを止める操作」ではなく、患者循環へ安全に戻すプロセスです。
選択肢の確認
1.正しい。
選択肢1はa、bの組合せです。混合静脈血酸素飽和度60%以上、左房圧15 mmHg以下はいずれも体外循環離脱時の確認項目として適切です。
2.誤り。
選択肢2はa、eの組合せです。aは正しいですが、eが不適切です。ベンティングは必要に応じて調整・停止するもので、離脱時に無条件で継続するものではありません。
3.誤り。
選択肢3はb、cの組合せです。bは正しいですが、cが不適切です。中心静脈圧15 mmHg以上は、容量過多や右心負荷を示す可能性があります。
4.誤り。
選択肢4はc、dの組合せです。cは不適切で、dも不適切です。送血カニューレを脱血カニューレより先に抜く操作は安全な離脱手順として適切ではありません。
5.誤り。
選択肢5はd、eの組合せです。どちらも不適切です。カニューレ抜去やベンティングの扱いは、循環の安定、空気除去、施設手順を確認して行います。
覚えるポイント
- 体外循環離脱では、心臓が自力で循環を維持できるかを確認します。
- SvO₂ 60%以上は酸素需給バランスの目安です。
- 左房圧15 mmHg以下は左心容量負荷が過大でない目安です。
- 中心静脈圧が高すぎる状態は離脱に有利とは限りません。
- 離脱時は、送血・脱血カニューレ、ベンティング、空気混入に注意します。