9PM151第9回 公認心理師国家試験 過去問

精神疾患とその治療-99 精神疾患の複合鑑別

14 歳の男子A、中学 2 年生。体育館で喫煙しているところを担任教師に見つかり、母親Bに連絡が入った。Bによると、Aは小学生の頃はおとなしかったが、中学受験に失敗して以来、反抗的になった。コンビニエンスストアで缶ビールを万引きして補導されたり、Bの財布から現金を盗み、注意したBを殴って怪我をさせたりしたこともあるという。中学校では、入学直後から、同級生への恐喝や、教室の備品の破壊、無断下校などの問題行動を繰り返している。授業中にいらいらして教室を飛び出すことも多いが、成績は中程度である。Bは、「厳しくしつけてきたのに、なぜこうなったのか分からない」と困惑している。  Aの状態の理解として、最も適切なものを 1 つ選べ。

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正解: 1

正答

1

この問題のポイント

この事例では、単なる反抗や不注意ではなく、他者の権利や社会的規範を繰り返し侵害している点から、素行症を理解することが重要です。

Aには、喫煙、万引き、窃盗、母親への暴力、同級生への恐喝、備品破壊、無断下校などがみられます。複数の場面で反復する問題行動であり、家庭、学校、地域での社会的機能に支障が出ています。

解説

素行症は、他者の基本的人権や年齢相応の社会的規範・規則を持続的に侵害する行動パターンが特徴です。攻撃性、器物損壊、虚偽や窃盗、重大な規則違反などが含まれます。

この事例のAは14歳の中学2年生です。体育館での喫煙だけでなく、缶ビールの万引き、母親の財布から現金を盗む、注意した母親を殴って怪我をさせる、同級生への恐喝、教室備品の破壊、無断下校など、多様な問題行動を繰り返しています。

反抗挑発症では、怒りっぽさ、口論、挑発的態度、恨みがましさなどが中心で、重大な権利侵害や犯罪性の高い行動は素行症ほど中心ではありません。本事例では、窃盗、暴力、恐喝、器物破壊があるため、素行症が最も適切です。

公認心理師としては、Aを単に「悪い子」とみなすのではなく、リスク、家庭環境、学校適応、非行仲間の有無、発達特性、トラウマ、保護者支援、関係機関連携を総合的に評価します。

司法・教育領域のポイント
非行や問題行動の事例では、行動の種類、頻度、持続期間、他者への被害、家庭・学校・地域への影響を整理します。

選択肢の確認

1.素行症
判定:最も適切。
素行症では、他者の権利や社会的規範を繰り返し侵害する行動がみられます。Aは万引き、窃盗、暴力、恐喝、器物破壊、喫煙、無断下校を繰り返しており、素行症が最も適切です。

2.適応障害
判定:適切とはいえない。
適応障害は、明確なストレス因に対する情緒面や行動面の反応が中心です。Aには中学受験の失敗という背景がありますが、問題行動は窃盗、暴力、恐喝、器物破壊など広範で重大であり、素行症として理解する方が適切です。

3.反抗挑発症
判定:適切とはいえない。
反抗挑発症は、怒りっぽさ、口論、反抗的態度、挑発、恨みがましさが中心です。Aには反抗的態度だけでなく、万引き、恐喝、暴力、器物破壊など、他者の権利を侵害する行動が複数みられるため、素行症がより適切です。

4.注意欠如多動症
判定:適切とはいえない。
注意欠如多動症では、不注意、多動性、衝動性が中心です。Aは授業中にいらいらして教室を飛び出すことがありますが、成績は中程度であり、事例の中心は窃盗、暴力、恐喝、器物破壊などの素行上の問題です。

5.自閉スペクトラム症
判定:適切とはいえない。
自閉スペクトラム症では、社会的コミュニケーションの困難、限定された興味、反復行動、感覚特性などが中心です。本事例にはそのような発達特性の記述はなく、反復する反社会的行動が中心です。

覚えるポイント

  • 素行症は、他者の権利や社会的規範を繰り返し侵害する行動が特徴です。
  • 暴力、恐喝、窃盗、器物破壊、重大な規則違反は素行症の手がかりです。
  • 反抗挑発症は、怒り、口論、反抗、挑発が中心で、重大な権利侵害は中心ではありません。
  • 非行事例では、本人だけでなく、家庭、学校、地域、司法・福祉機関との連携を考えます。
  • 支援では、被害防止、安全確保、保護者支援、発達・心理面の評価を並行して行います。

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