9PM141第9回 公認心理師国家試験 過去問

心理療法・心理支援-01 CBT基礎:認知療法・認知再構成・概念化

36 歳の男性A、会社員。同僚からの勧めで心療内科クリニックを受診した。Aによると、 1 年前に部署を異動してから、重要なプロジェクトに関わり、残業も増え、半年前からは寝付きが悪くなり、集中力が落ちて仕事上のミスも目立つようになった。朝起きたときから気分が重く、何をするのもおっくうに感じる。休日はほとんど家で横になって過ごし、以前は楽しみにしていた趣味もしなくなった。外出や人付き合いも避けがちになっているという。主治医は投薬の反応をみて、改善傾向にあることを確認したため、公認心理師Bに認知行動療法の実施を依頼した。  Bが行う認知行動療法として、最も適切なものを 1 つ選べ。

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正解: 3

正答

3

この問題のポイント

この事例では、うつ病・抑うつ状態に対する認知行動療法として、行動活性化療法を選ぶことが重要です。

Aは、気分の重さ、意欲低下、不眠、集中力低下、仕事上のミス、趣味の喪失、外出や人付き合いの回避がみられます。投薬で改善傾向が確認された後、公認心理師に認知行動療法が依頼されています。

解説

行動活性化療法は、抑うつによって活動量が低下し、楽しみや達成感を得る機会が減り、さらに気分が落ち込むという悪循環に働きかける方法です。

Aは、部署異動後に仕事の負荷が増え、半年前から不眠、集中力低下、気分の重さ、意欲低下がみられるようになりました。休日はほとんど横になって過ごし、以前楽しんでいた趣味もしなくなり、外出や人付き合いも避けています。これは、抑うつによって活動が減り、強化を得る機会が少なくなっている状態として理解できます。

行動活性化療法では、本人の価値や生活リズムに合わせて、無理のない活動計画を立て、達成感や楽しさを得られる行動を少しずつ増やします。症状が完全になくなってから行動するのではなく、行動を変えることで気分の改善を促す点が特徴です。

公認心理師としての注意点
うつ状態の支援では、主治医との連携、希死念慮の確認、生活リズム、職場環境、復職や業務負荷への配慮を含めて考えます。

選択肢の確認

1.認知処理療法
判定:適切とはいえない。
認知処理療法は、主に PTSD への認知行動療法として用いられ、トラウマに関連する認知の修正を扱います。本事例では、トラウマ反応よりも抑うつによる活動低下が中心であり、最も適切とはいえません。

2.系統的脱感作法
判定:適切とはいえない。
系統的脱感作法は、不安や恐怖に対して、リラクセーションと段階的な曝露を組み合わせる方法です。Aの中心症状は恐怖症状ではなく、抑うつによる活動低下と回避であるため、最も適切ではありません。

3.行動活性化療法
判定:最も適切。
行動活性化療法は、抑うつに伴う活動低下、回避、楽しみや達成感の減少に働きかけます。Aは休日に横になって過ごし、趣味や人付き合いを避けているため、活動を段階的に増やす支援が適切です。

4.エクスポージャー
判定:適切とはいえない。
エクスポージャーは、不安や恐怖を引き起こす刺激に段階的に接近し、回避を減らす方法です。強迫症、PTSD、恐怖症などで用いられます。本事例では、抑うつに対する行動活性化がより適切です。

5.ソーシャル・スキルズ・トレーニング
判定:適切とはいえない。
ソーシャル・スキルズ・トレーニングは、対人技能の獲得や練習を目的とする支援です。Aは人付き合いを避けていますが、事例の中心は対人技能の不足ではなく、抑うつによる活動性低下です。

覚えるポイント

  • 行動活性化療法は、うつ状態に伴う活動低下や回避に働きかけます。
  • 活動を増やすことで、達成感や楽しみなどの強化を得る機会を増やします。
  • 抑うつでは、症状が軽くなってから動くのではなく、無理のない行動から回復を促します。
  • 認知処理療法は PTSD、系統的脱感作法やエクスポージャーは不安・恐怖症状と関連します。
  • 産業領域では、職場負荷、休職・復職、主治医や産業医との連携も重要です。

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