9AM65第9回 公認心理師国家試験 過去問

神経・生理心理学-08 睡眠・覚醒・睡眠障害

35 歳の男性A、システムエンジニア。朝の起床がつらく、疲労感が抜けないと訴えて内科クリニックを受診した。Aによると、納期に追われ、深夜まで仕事をすることが多い。就寝時間が遅くなっているにもかかわらず、寝ようとしても眠れない。このため、会社の始業時間に間に合うように起床することが難しくなっている。朝起きても熟睡感がなく、身体がだるい。日中も強い眠気があり、会議に集中できなかったり、車の運転中に危険を感じたりする。仕事のパフォーマンスも低下し、上司から注意を受けることが増えている。週末は昼過ぎまで寝てしまい、何もできないまま終わってしまうという。  Aの病態の理解として、最も適切なものを 1 つ選べ。

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正解: 5

正答

5

この問題のポイント

この問題では、睡眠の量だけでなく、睡眠と覚醒のタイミングのずれに注目して、概日リズム睡眠・覚醒障害を考えることが求められています。

A は深夜まで仕事をする生活が続き、就寝時刻が遅れ、始業時間に合わせて起床することが難しくなっています。日中の眠気、集中困難、運転中の危険、仕事のパフォーマンス低下もみられます。

解説

A は 35 歳のシステムエンジニアで、納期に追われ、深夜まで仕事をすることが多くなっています。就寝時間が遅くなっているにもかかわらず、寝ようとしても眠れず、朝は会社の始業時間に間に合うように起きることが難しくなっています。

このような状態では、本人の体内時計による睡眠・覚醒リズムと、社会的に求められる生活時間がずれていると考えられます。これが概日リズム睡眠・覚醒障害の理解に合います。

概日リズム睡眠・覚醒障害では、眠るべき時間に眠れない、起きるべき時間に起きられない、日中に眠気が強い、学業や仕事に支障が出るなどの問題が生じます。睡眠相後退型では、眠気が生じる時刻と起床可能な時刻が遅くずれます。

A は、週末に昼過ぎまで寝てしまい、何もできないまま終わることもあります。これは、平日の睡眠不足やリズムの乱れを補うように睡眠時刻がさらに遅れる悪循環として理解できます。

事例問題で見るポイント
睡眠の問題では、眠れないことだけでなく、就寝時刻、起床時刻、平日と休日の差、日中の眠気、生活への支障、安全リスクを確認します。

産業・労働領域での注意点
長時間労働や深夜作業が背景にある場合、本人の生活習慣だけに原因を求めず、業務量、納期、勤務体制、職場環境、産業医との連携も検討します。

選択肢の確認

1.うつ病
判定:誤り。
うつ病では、抑うつ気分、興味や喜びの低下、疲労感、睡眠障害、集中困難などがみられます。A には疲労感や集中困難がありますが、中心は深夜労働に伴う睡眠時刻の遅れ、起床困難、日中の眠気であり、概日リズム睡眠・覚醒障害が最も適切です。

2.適応障害
判定:誤り。
適応障害は、明確なストレス因に対する情緒面や行動面の反応が生活に支障をきたす状態です。A には納期に追われるストレスがありますが、本問で最も中心となるのは睡眠・覚醒リズムのずれと、それに伴う起床困難や日中の眠気です。

3.特発性過眠症
判定:誤り。
特発性過眠症は、十分な睡眠をとっても日中の強い眠気が続く睡眠障害です。本事例では、深夜までの仕事、就寝時刻の遅れ、寝ようとしても眠れない、始業時間に起きられないというリズムの問題が中心です。特発性過眠症より概日リズム睡眠・覚醒障害が適切です。

4.パラソムニア
判定:誤り。
パラソムニアは、睡眠中や睡眠覚醒移行期に生じる異常行動や体験を指します。睡眠時遊行、夜驚、悪夢などが含まれます。A には睡眠中の異常行動は示されておらず、睡眠・覚醒リズムのずれが中心です。

5.概日リズム睡眠・覚醒障害
判定:最も適切。
概日リズム睡眠・覚醒障害は、体内時計のリズムと社会的に求められる睡眠・覚醒時間がずれることで、眠るべき時間に眠れない、起きるべき時間に起きられない、日中の眠気や生活機能低下が生じる状態です。A の病態理解として最も適切です。

覚えるポイント

  • 概日リズム睡眠・覚醒障害は、睡眠と覚醒のタイミングのずれが中心です。
  • 睡眠相後退では、寝る時刻と起きる時刻が遅くずれます。
  • 日中の眠気、集中困難、運転中の危険は重要な評価ポイントです。
  • 長時間労働が背景にある場合、職場環境や産業保健との連携も考えます。

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