38Q91第38回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ障害の理解

次のうち、障害福祉におけるソーシャルインクルージョン(social inclusion)の考え方の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 5

正答

5

この問題のポイント

ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)とは、障害の有無などによって誰かを社会から排除したり分離したりせず、すべての人が社会の一員として共に生活し、参加できる状態を目指す考え方です。

「統合」と「包摂」の違いを理解することがポイントです。統合は、分けられていた人を既存の社会の枠組みに入れるという意味合いがあります。これに対して包摂は、最初から多様な人がいることを前提として、誰も排除されない社会や環境をつくる考え方です。

解説

ソーシャルインクルージョンは、日本語では「社会的包摂」と訳されます。障害、年齢、性別、国籍、経済状況などの違いを理由に、社会から排除されたり孤立したりする人を生み出さず、誰もが地域社会の構成員として尊重され、生活や活動に参加できることを目指します。

大切なのは、障害のある人を、障害のない人を基準につくられた社会へ単に参加させることではありません。社会の側が物理的な障壁、情報の障壁、制度上の障壁、偏見や思い込みなどを見直し、多様な人が参加しやすい環境を整えることまで含まれます。合理的配慮、意思決定支援、権利擁護なども、その実現に必要な取組です。

ただし、権利侵害から守ることや意思決定を支援することは、それぞれ社会的包摂を実現するための重要な方法ではありますが、ソーシャルインクルージョンそのものの説明としては範囲が狭すぎます。設問では、障害のある人もない人も含めて誰も排除しない社会という、最も包括的な選択肢を選びます。

介護福祉職には、利用者を支援の受け手としてのみ捉えるのではなく、本人の意思、役割、強みを尊重し、地域や社会への参加を妨げている環境を調整する視点が求められます。

選択肢の確認

1.障害のある人とない人を統合する社会

誤りです。 統合は、分離されていた人を既存の社会の枠組みに加える考え方です。本人が既存の環境に合わせることを求められる場合があり、多様な人がいることを前提に社会全体を整える包摂とは区別されます。

2.障害のある人を権利侵害から守る社会

誤りです。 権利侵害を防ぐ権利擁護は非常に重要ですが、社会的包摂は権利保護だけでなく、生活、教育、就労、地域活動などへの参加を含む、より広い考え方です。

3.障害のある人の意思決定を支援する社会

誤りです。 意思決定支援は、本人を生活の主体として尊重するための重要な支援です。しかし、これは社会的包摂を実現するための一つの方法であり、ソーシャルインクルージョン全体の説明ではありません。

4.障害のある人の最善の利益を考える社会

誤りです。 本人の利益を考えることは必要ですが、支援者が考える利益だけを優先すると、本人の意思や選好が置き去りになるおそれがあります。また、この記述だけでは、誰も排除せず社会参加を保障するという社会的包摂の意味を十分に表していません。

5.障害のある人もない人も包摂する社会

正しいです。 障害の有無などにかかわらず、すべての人を社会の構成員として受け入れ、誰も排除されずに参加できる社会を目指すという、ソーシャルインクルージョンの考え方を表しています。

覚えるポイント

  • ソーシャルインクルージョンは「社会的包摂」であり、誰一人として社会から排除しない考え方。
  • 統合は既存の社会へ加える考え方、包摂は最初から多様な人が共にいることを前提に社会や環境を整える考え方。
  • 権利擁護、意思決定支援、合理的配慮は、社会的包摂を実現するための重要な取組。

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