34Q91|第34回 介護福祉士国家試験 過去問
Fさん(21歳、男性)は、交通事故による頸髄損傷(けいずいそんしょう)(cervical cord injury)で重度の四肢麻痺(ししまひ)になった。最近はリハビリテーションに取り組まず、周囲の人に感情をぶつけ強くあたるようになった。 介護福祉職の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.自分でできることに目を向けられるように、Fさんを支援する。
この問題のポイント
障害を負った人への支援では、できなくなったことだけに注目するのではなく、残存機能、本人の強み、利用できる道具や支援を生かして、生活を再構築できるように支えることが重要です。
解説
Fさんは21歳で、交通事故によって重度の四肢麻痺になりました。突然の受傷によって、それまでの生活、将来像、身体機能が大きく変化したことへの喪失感、不安、怒り、無力感などを抱えている可能性があります。リハビリテーションに取り組まず周囲へ強くあたる行動だけを問題視せず、その背景にある思いを受け止める必要があります。
介護福祉職は、Fさんができないことを一方的に指摘したり、回復を強要したりするのではなく、現在保たれている機能と本人の強みに目を向けられるよう支援します。例えば、残存機能に応じた車いす操作、自助具や情報通信機器の活用、身の回りの動作、学業・就労・余暇活動など、本人が意味を感じる具体的な目標を一緒に検討します。小さな達成を積み重ねることは、自己効力感と生活への主体性を取り戻すことにつながります。
リハビリテーションの目的は、歩行機能の回復だけではありません。機能の維持・改善、代償手段の獲得、日常生活の自立、社会参加、二次障害の予防などを含みます。本人の意思を中心に、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、心理職、相談支援職などと連携します。
ひっかけポイント
「諦めずに歩行訓練を勧める」は前向きに見えますが、損傷の状態と本人の希望を確認せず、歩行だけを目標にする支援は適切ではありません。リハビリテーションは、本人が望む生活の実現を目指すものです。
介護実践でのポイント
怒りや拒否の背景を傾聴しつつ、暴言や暴力がある場合は職員や周囲の安全も確保します。感情を否定せず、許容できない行為には落ち着いて境界を示し、チームで対応を統一します。必要に応じて心理的支援やピアサポートにつなげます。
選択肢の確認
1.歩けるようになるために、諦めずに機能訓練をするように支援する。
誤りです。
頸髄損傷の程度によって回復可能性は異なり、歩行だけがリハビリテーションの目標ではありません。医学的評価と本人の希望に基づき、残存機能や代償手段を生かした目標を一緒に設定します。
2.トラブルが起きないように、Fさんには近寄らないようにする。
誤りです。
関わりを避けると、Fさんの孤立や不信感を強め、必要な支援を受ける機会を奪います。安全を確保しながら、怒りの背景にある思いを聴き、信頼関係を築きます。
3.生活態度を改めるように、Fさんに厳しく注意する。
誤りです。
一方的に叱責すると、喪失感や怒りをさらに強める可能性があります。行動だけを非難せず、その背景を理解し、本人と対処方法を検討します。
4.自分でできることに目を向けられるように、Fさんを支援する。
正しいです。
残存機能や強みを生かし、本人が達成できる目標を持てるようにする支援は、自己効力感、自立、生活の再構築につながります。
5.障害が重いので、Fさんのできることも手伝うようにする。
誤りです。
できることまで介助すると、能力を発揮する機会を奪い、依存や廃用を招く可能性があります。本人が行える部分は見守り、必要な部分だけを支援します。
覚えるポイント
- 障害への適応は一直線に進むものではなく、怒り、不安、悲しみなどが揺れ動くことがある。
- リハビリテーションは、機能回復だけでなく、自立した生活と社会参加を支える。
- できないことだけでなく、残存機能、強み、代償手段、社会資源に目を向ける。
- 本人が決めた意味のある目標と、小さな達成の積み重ねを大切にする。