34Q90|第34回 介護福祉士国家試験 過去問
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)では出現しにくい症状として、適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 4
正答
4.感覚障害
この問題のポイント
ALSで障害されやすい機能と、比較的保たれやすい機能を見分ける問題です。ALSは主に運動ニューロンが障害されるため、運動、発声・構音、嚥下、呼吸に症状が出やすい一方、身体の感覚は一般に保たれます。
解説
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脳や脊髄にある運動ニューロンが進行性に障害される疾患です。筋肉そのものが最初に病気になるのではなく、筋肉へ動く命令を伝える運動神経が障害されるため、筋力低下、筋萎縮、筋肉のぴくつき、筋肉のこわばりなどが現れます。
手足を動かす運動ニューロンが障害されると四肢の運動障害が起こります。舌や咽頭、喉頭に関係する筋肉が弱くなると、言葉を明瞭に発音しにくい構音障害や、食べ物を飲み込みにくい嚥下障害が現れます。呼吸筋が弱くなると、息苦しさ、痰を出しにくい、夜間の低換気などの呼吸障害につながります。
一方、触った感覚、痛み、温度などの感覚機能は一般に保たれるため、感覚障害はALSの典型的な症状ではありません。「出現しにくい」とは、絶対に起こらないという意味ではなく、ALSの中心的な病態からは説明しにくい症状という意味です。
介護では、筋力だけでなく、呼吸状態、咳の力、痰、嚥下、体重、疲労、コミュニケーション方法の変化を継続的に観察します。発声が難しくなっても理解力まで低下したと決めつけず、文字盤や意思伝達装置などを用いて本人の意思を確認します。
ひっかけポイント
ALSは運動神経の疾患です。身体を動かしにくく、話しにくくなっても、感覚や意思が失われたとは限りません。反応に時間がかかっても、本人への説明と意思確認を続けます。
選択肢の確認
1.四肢の運動障害
出現しやすい症状です。
手足の運動を支配する運動ニューロンが障害されるため、筋力低下や筋萎縮が進み、四肢を動かしにくくなります。
2.構音障害
出現しやすい症状です。
舌、口唇、咽頭、喉頭などの筋力低下によって、言葉を明瞭に発音しにくくなる構音障害がみられます。
3.嚥下障害{えんげしょうがい}
出現しやすい症状です。
口や咽頭の筋力低下により、食塊を送り込みにくい、むせるなどの嚥下障害がみられます。誤嚥や低栄養にも注意が必要です。
4.感覚障害
正答。出現しにくい症状です。
ALSでは主に運動ニューロンが障害され、触覚、痛覚、温度覚などの身体感覚は一般に保たれます。そのため、感覚障害は典型的には出現しにくい症状です。
5.呼吸障害
出現しやすい症状です。
呼吸筋の筋力が低下するため、換気が不十分になったり、咳が弱く痰を出しにくくなったりする呼吸障害がみられます。
覚えるポイント
ALSは、主に運動ニューロンが障害される進行性の疾患です。
四肢の運動、構音、嚥下、呼吸に障害が現れやすくなります。
感覚機能は一般に保たれるため、感覚障害は出現しにくい症状です。