38Q125|第38回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題123から問題125までについて答えなさい。 〔事 例〕 Aさん(50歳、男性、障害支援区分4)は、1年前の交通事故の後遺症で、右片麻痺{みぎかたまひ}、高次脳機能障害(higher brain dysfunction)、失語症(aphasia)となった。現在は障害者支援施設で生活している。日中は、車いすに座って過ごしているが、すぐに右肩が下がり上半身は右へ傾いた姿勢になる。ある日、B介護福祉職がAさんに姿勢の傾きを直す方法を伝えようとすると、Aさんは大声でどなり、物を投げた。B介護福祉職は、以前からAさんとのコミュニケーションに悩んでいたため、C介護主任に相談することにした。C介護主任の問いかけに答えるなかで、B介護福祉職は自分自身の言動を振り返ることができ、Aさんに伝わらない焦りと、子どもに言い聞かせるような口調が、Aさんの感情を害していたことに気づいた。その後、コミュニケーション方法を工夫し、Aさんに姿勢の傾きを直す方法を説明し、同意を得ることができた。 毎週、Aさんは妻との面会を楽しみにしている。しかし、妻はAさんの将来に不安を感じて、B介護福祉職に、「夫の障害について、情報交換や勉強がしたい。そのようなところがあれば紹介してほしい」と相談した。 妻の相談を受けたB介護福祉職がサービス管理責任者に報告をしたところ、ある社会資源を紹介することになった。 次のうち、B介護福祉職が妻に紹介した社会資源として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 3
正答
3.家族会
この問題のポイント
妻が求めている支援内容と、各社会資源の役割を対応させる問題です。
妻は、「夫の障害について、情報交換や勉強がしたい」と希望しています。同じ障害のある人を支える家族同士が経験や情報を分かち合い、学習や相互支援を行う家族会が、最も希望に合う社会資源です。
解説
家族会は、同じ病気や障害のある本人を支える家族などが集まり、体験、悩み、対応の工夫、利用できる制度や社会資源について情報交換する場です。学習会や講演会、相談、交流、ピアサポートなどを行う家族会もあります。
高次脳機能障害は、記憶、注意、遂行機能、社会的行動などに影響し、外見からわかりにくいことがあります。発症前との変化に家族が戸惑ったり、対応方法がわからず孤立したりすることもあります。同じ経験をもつ家族との交流は、「自分だけではない」と感じられる支えになり、生活上の具体的な工夫や地域の支援情報を得る機会にもなります。
妻の相談は、就職先を探したいというものでも、生活保護などの行政手続きをしたいというものでもありません。本人や家族との情報交換と障害についての学習が希望なので、家族会が最も適切です。
ただし、家族会への参加を強制してはいけません。活動内容、開催場所、参加方法、費用、オンライン参加の有無などをわかりやすく説明し、妻が希望するかを確認します。家族会は専門的な医療・福祉相談をすべて代替するものではないため、必要に応じて高次脳機能障害の支援拠点機関、相談支援専門員、医師、リハビリテーション専門職などにもつなぎます。
家族会でAさんの状態を話す場合には、Aさんのプライバシーにも配慮が必要です。妻の支援を行いながらも、Aさん本人の意思と尊厳を尊重し、個人情報を必要以上に共有しないようにします。
ひっかけポイント
「障害者を支援する機関」であれば何でもよいわけではありません。相談者が何を望んでいるかを具体的に読み取り、その目的に最も合う社会資源を選びます。
介護実践でのポイント
家族の不安を「家族だから支えて当然」と受け止めず、家族自身も支援の対象として考えます。家族会などのピアサポートと、専門職による相談支援の両方を組み合わせます。
選択肢の確認
1.福祉事務所
適切ではありません。
福祉事務所は、生活保護をはじめとする福祉に関する行政相談や援護の事務を行う機関です。制度上の相談が必要な場合には関係しますが、同じ障害をもつ人の家族同士で情報交換や学習を行う場ではありません。
2.公共職業安定所(ハローワーク)
適切ではありません。
公共職業安定所は、職業相談、職業紹介、雇用保険の手続きなど、就労に関する支援を行います。妻が希望する障害についての家族同士の情報交換や勉強の場ではありません。
3.家族会
正答。最も適切です。
家族会では、同じ障害のある人を支える家族同士が、経験、悩み、対応方法、制度や社会資源について情報交換し、学習や相互支援を行います。妻の希望に最も合っています。
4.地域包括支援センター
適切ではありません。
地域包括支援センターは、主に高齢者とその家族を対象に、総合相談、介護予防支援、権利擁護などを行う機関です。Aさんは50歳で障害者支援施設に暮らしており、今回の妻の希望は高次脳機能障害について家族同士で情報交換し学ぶことなので、家族会がより適切です。
5.地域障害者職業センター
適切ではありません。
地域障害者職業センターは、障害のある人への職業評価、職業準備支援、職場復帰支援、事業主への助言など、職業リハビリテーションを行う機関です。妻の希望する家族同士の情報交換や学習を主な目的とする機関ではありません。
覚えるポイント
家族会は、同じ病気や障害に関わる家族同士の情報交換、学習、相談、交流、ピアサポートの場です。
社会資源を選ぶときは、相談者の言葉から「何を求めているか」を具体的に読み取ります。
福祉事務所は福祉行政、ハローワークは就労、地域包括支援センターは主に高齢者支援を担います。
地域障害者職業センターは、障害のある人の職業リハビリテーションを行います。
家族支援では、ピアサポートと専門職による支援を組み合わせ、本人と家族の意思、尊厳、プライバシーを守ります。