36Q87|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
左片麻痺{ひだりかたまひ}の利用者が、端座位でズボンを着脱するときの介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 3
正答
3.左足を右の大腿{だいたい}の上にのせて、ズボンを通すように促す。
この問題のポイント
片麻痺のある人の更衣では、利用者が動かしやすい健側を活用し、麻痺側の安全を守りながら、できる動作を本人に行ってもらうことが大切です。
ズボンをはくときは麻痺側の足から通し、脱ぐときは健側の足から抜くのが基本です。左片麻痺では、左足を右大腿の上にのせると、健側の右手で左足やズボンを扱いやすくなります。
解説
左片麻痺の利用者は、左下肢を自分で持ち上げたり、ズボンの裾へ正確に通したりすることが難しい場合があります。端座位で左足を健側である右大腿の上にのせると、左足が手元に近づき、健側の右手を使ってズボンを通しやすくなります。
ズボンを着るときは、動かしにくい麻痺側から先に通し、その後に健側を通します。脱ぐときは反対に、健側から先に抜き、最後に麻痺側を抜きます。この原則は「着患脱健」と表現されます。
立ち上がってズボンを腰まで上げる場合は、立位になる前にズボンを大腿部まで十分に引き上げます。ズボンが膝下にあるまま立ち上がると、足の動きを妨げて転倒する危険があります。介護福祉職は麻痺側に位置し、膝折れや身体の傾きを防ぎます。
ただし、股関節の可動域制限、痛み、人工股関節の脱臼予防肢位などがある場合は、足を反対側の大腿にのせる方法が適さないことがあります。利用者の身体状況と個別の介護計画を確認する必要があります。
ひっかけポイント
「健側を活用する」ことと「健側から先に着る」ことは同じではありません。ズボンを着るときは麻痺側から、脱ぐときは健側からが基本です。健側の手や足は、麻痺側の動作を補うために活用します。
介護実践でのポイント
更衣前に端座位の安定性、足底が床についているか、関節の痛みや可動域を確認します。利用者ができる動作を待ち、必要な部分だけを介助します。立位をとる場合は、手すりや安定した支持物を準備し、麻痺側の膝折れ、ふらつき、ズボンの裾の巻き込みに注意します。
選択肢の確認
1.最初に、左側の腰を少し上げて脱ぐように促す。
誤りです。
左片麻痺では、脱ぐときは動かしやすい右の健側からズボンを下ろし、最後に左の麻痺側を外すのが基本です。最初から麻痺側の左腰を上げると、姿勢が不安定になりやすく、十分に操作できない可能性があります。
2.右膝を高く上げて、脱ぐように促す。
誤りです。
健側の右足から脱ぐこと自体は原則に合いますが、右膝を高く持ち上げると支持面が狭くなり、端座位のバランスを崩す危険があります。安定した座位を保ち、無理のない範囲で足を抜きます。
3.左足を右の大腿{だいたい}の上にのせて、ズボンを通すように促す。
正しいです。
麻痺側の左足を健側の右大腿にのせると足が手元に近づき、健側の右手でズボンを通しやすくなります。ズボンを着るときは、麻痺側から先に通すのが基本です。
4.立ち上がる前に、ズボンを膝下まで上げるように促す。
誤りです。
立ち上がる前には、ズボンを膝下ではなく、大腿部までできるだけ引き上げます。膝下にとどまったズボンは足の動きを妨げ、つまずきや転倒の原因になります。
5.介護福祉職は右側に立って、ズボンを上げるように促す。
誤りです。
左片麻痺では、介護福祉職は原則として麻痺側である左側に位置し、膝折れや身体の傾きを防ぎます。健側の右側だけに立つと、麻痺側の異常にすぐ対応できない可能性があります。
覚えるポイント
- 片麻痺の更衣は「着患脱健」が基本である。
- ズボンを着るときは麻痺側から通し、脱ぐときは健側から抜く。
- 健側の手足を、麻痺側の動作を補うために活用する。
- 立位になる前に、ズボンを大腿部まで十分に引き上げる。
- 介護福祉職は麻痺側に位置し、膝折れやふらつきに備える。
- 関節可動域、痛み、手術歴などに応じて方法を個別に調整する。