36Q62|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
次のうち、経管栄養で起こるトラブルに関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 2
正答
2.注入速度が速いときは、嘔吐{おうと}を起こす可能性がある。
この問題のポイント
経管栄養で生じるトラブルと、その原因を正しく組み合わせる問題です。
注入速度が速すぎると、胃に栄養剤が急速にたまり、腹部膨満感、嘔気、嘔吐、下痢などを起こすことがあります。経管栄養では、チューブの位置、栄養剤の種類・量・濃度・温度、注入速度、体位、清潔管理をそれぞれ確認します。
解説
経管栄養は、胃ろう、腸ろう、経鼻胃管などを通して栄養剤を注入する方法です。介護福祉士等が行う場合は、所定の研修等を修了し、医師の指示と医療職との連携の下で、あらかじめ決められた手順に従います。
注入速度が速いと、胃から小腸へ送られる速度を上回って栄養剤が胃内にたまり、胃が張る、気持ちが悪い、吐くといった症状が生じる可能性があります。小腸へ急速に流れ込むと、腹痛、下痢、動悸、発汗、めまいなどの症状が現れることもあります。
チューブが誤って気道に入ったまま注入すると、栄養剤が気管や肺に入り、窒息、呼吸状態の悪化、誤嚥性肺炎などの重大事故につながります。これは下痢よりも、呼吸器系の危険をまず考える状態です。
栄養剤が冷たすぎると消化管が刺激され、腹痛や下痢を生じることがあります。熱すぎる場合は粘膜を傷つける危険があります。温度不良の代表的な問題を、脱水と結びつけるのは適切ではありません。
濃度が高すぎる栄養剤を急に注入すると、浸透圧の影響で下痢や水分バランスの乱れにつながることがあります。一方、感染は、栄養剤や器具の不衛生な取扱い、長時間の作り置き、洗浄・乾燥不足などが主な原因になります。
注入時は上体を起こし、逆流と誤嚥を予防します。仰臥位など不適切な姿勢では、栄養剤が食道へ逆流し、嘔吐や誤嚥につながる可能性があります。姿勢不良の代表的な問題を便秘とするのは誤りです。
ひっかけポイント
原因と症状の組合せを整理します。「速すぎる注入」は腹部膨満・嘔吐・下痢、「冷たすぎる栄養剤」は腹痛・下痢、「不適切な体位」は逆流・誤嚥、「不潔な取扱い」は感染です。
介護実践でのポイント
注入中は、顔色、呼吸、意識、表情、腹部膨満感、腹痛、嘔気、嘔吐、下痢、漏れ、滴下速度を観察します。異常時は、事前に定められた手順に従って注入速度を落とす、注入を中断するなどの安全対応を行い、看護職員等へ速やかに報告します。
選択肢の確認
1.チューブの誤挿入は、下痢を起こす可能性がある。
誤り。
チューブの誤挿入で特に危険なのは、栄養剤が気道に入ることによる窒息、呼吸状態の悪化、誤嚥性肺炎などです。下痢との組合せは適切ではありません。
2.注入速度が速いときは、嘔吐{おうと}を起こす可能性がある。
正答。最も適切です。
栄養剤が胃内へ急速に入ると、胃内にたまって腹部膨満感や嘔気、嘔吐を起こす可能性があります。
3.注入物の温度の調整不良は、脱水を起こす可能性がある。
誤り。
冷たすぎる栄養剤は消化管を刺激して腹痛や下痢を起こすことがあり、熱すぎると粘膜を傷つける危険があります。温度不良と脱水の直接的な組合せではありません。
4.注入物の濃度の間違いは、感染を起こす可能性がある。
誤り。
濃度の誤りでは、浸透圧の変化による下痢などが問題になります。感染は、栄養剤や注入器具の汚染、不十分な洗浄・乾燥、長時間の作り置きなどと関連します。
5.注入中の姿勢の不良は、便秘を起こす可能性がある。
誤り。
不適切な姿勢では、栄養剤の逆流、嘔吐、誤嚥などが起こりやすくなります。便秘を代表的なトラブルとする説明は適切ではありません。
覚えるポイント
注入速度が速すぎると、腹部膨満感、嘔気、嘔吐、下痢などが起こり得ます。
チューブの誤挿入では、呼吸障害や誤嚥という重大事故を考えます。
冷たい栄養剤は、腹痛や下痢の原因になることがあります。
感染予防では、栄養剤と器具を清潔に扱い、作り置きを避け、洗浄後に十分乾燥させます。
体位、栄養剤、速度、チューブ、本人の状態を注入前・注入中・注入後に確認します。