36Q35第36回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ発達と老化の理解

Kさん(80歳、男性)は、40歳ごろから職場の健康診査で高血圧と高コレステロール血症(hypercholesterolemia)を指摘されていた。最近、階段を上るときに胸の痛みを感じていたが、しばらく休むと軽快していた。喉の違和感や嚥下痛{えんげつう}はない。今朝、朝食後から冷や汗を伴う激しい胸痛が起こり、30分しても軽快しないので、救急車を呼んだ。 Kさんに考えられる状況として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 4

正答

4.心筋梗塞(myocardial infarction)

この問題のポイント

高血圧と高コレステロール血症は、冠動脈の動脈硬化を進める危険因子です。

これまでの「運動時に胸が痛み、休むと軽快する」という症状に続き、冷や汗を伴う激しい胸痛が30分以上持続していることから、急性心筋梗塞が最も強く疑われます。

解説

心筋梗塞は、心臓の筋肉へ血液を送る冠動脈が血栓などによって閉塞し、心筋が壊死する病気です。発症時には、締めつけられる、押しつぶされるような強い胸痛が長く続き、冷や汗、吐き気、顔面蒼白、呼吸困難などを伴うことがあります。

Kさんは以前から、階段を上ると胸が痛み、休むと軽快していました。これは運動によって心筋の酸素需要が増えたときに一時的な虚血が生じる、労作性狭心症を疑う経過です。

今朝は、激しい胸痛が30分経過しても軽快せず、冷や汗も伴っています。短時間で軽快していた以前の症状と異なり、冠動脈が閉塞して心筋の壊死が始まっている急性心筋梗塞を強く疑います。高血圧、高コレステロール血症、高齢という背景も、冠動脈疾患の危険を高めます。

心筋梗塞は一刻を争う状態です。Kさんが救急車を呼んだ判断は適切です。本人を歩かせず、楽な姿勢で安静を保ち、意識、呼吸、顔色などを観察します。反応がなく正常な呼吸がない場合は、119番の指示に従い、胸骨圧迫とAEDの使用を開始します。

高齢者や糖尿病のある人などでは、典型的な激しい胸痛ではなく、息苦しさ、吐き気、強いだるさなどだけが現れる場合もあります。症状が典型的でないことを理由に心筋梗塞を除外してはいけません。

ひっかけポイント
「朝食後の胸痛」だけを見て逆流性食道炎を選ばないことが大切です。運動時胸痛の既往、30分以上続く激痛、冷や汗、動脈硬化の危険因子を総合して判断します。

介護実践でのポイント
強い胸痛、冷や汗、呼吸困難、顔面蒼白などがあれば、本人を歩かせたり様子を長く見たりせず、直ちに救急要請します。介護福祉職の判断で飲食物や新たな薬を与えず、発症時刻や症状の経過、服薬情報を救急隊へ伝えます。

選択肢の確認

1.喘息{ぜんそく}(bronchial asthma)
誤りです。
喘息では、気道が狭くなって喘鳴、咳、呼吸困難、胸部圧迫感などが生じます。冷や汗を伴う激しい胸痛が30分以上続くというKさんの経過とは一致しません。

2.肺炎(pneumonia)
誤りです。
肺炎では、発熱、咳、痰、呼吸困難、全身倦怠感などが主にみられます。Kさんには感染を示す症状がなく、運動時胸痛に続く持続性の激しい胸痛と冷や汗があります。

3.脳梗塞(cerebral infarction)
誤りです。
脳梗塞では、突然の片麻痺、顔のゆがみ、言語障害、感覚障害などの局所神経症状が代表的です。持続する激しい胸痛が中心となる病気ではありません。

4.心筋梗塞(myocardial infarction)
正しいです。
高血圧・高コレステロール血症という危険因子、労作時胸痛の既往、30分以上軽快しない激しい胸痛、冷や汗は、急性心筋梗塞を強く疑う所見です。

5.逆流性食道炎(reflux esophagitis)
誤りです。
逆流性食道炎では、胸やけ、酸っぱい液が上がる感じ、食後や横になったときの胸部不快感などがみられます。心筋梗塞に似ることはありますが、本事例の危険因子と症状経過では心筋梗塞を優先します。

覚えるポイント

心筋梗塞では、強い胸痛が長く続き、冷や汗や吐き気を伴うことがあります。

高血圧、高コレステロール血症、加齢などは冠動脈疾患の危険因子です。

労作時に生じ、安静で軽快する胸痛は狭心症を疑います。

いつもと異なる強い胸痛が持続したら、直ちに119番へ連絡します。

高齢者では典型的な胸痛がない場合もあります。

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