36Q113|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
事例研究を行うときに、遵守すべき倫理的配慮として、適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 1
正答
1.研究内容を説明して、事例対象者の同意を得る。
この問題のポイント
人を対象とする事例研究では、対象者の尊厳と権利を守ることが最優先です。研究の目的、方法、情報の利用方法、成果の公表などを分かりやすく説明し、対象者の自由意思による同意を得ます。
同意を得るだけでなく、個人が特定されないようにすること、データを適切に保管すること、引用元を明示すること、事実を正確に扱うことも必要です。
解説
インフォームド・コンセントは、単に署名をもらうことではありません。事例対象者が、研究の目的と方法、参加による負担や利益、個人情報の取扱い、成果の公表方法などについて説明を受け、理解したうえで、自らの意思で参加を決める過程です。
研究への協力は任意であり、協力を断っても不利益を受けないことや、同意後でも定められた条件の範囲で撤回を申し出られることを伝えます。対象者の理解や意思表明に支援が必要な場合は、本人への分かりやすい説明を尽くし、研究の性質や規程に応じて代諾者等への手続も検討します。
研究では、氏名や施設名などから個人が特定されないように情報を扱い、データは研究計画や所属機関の規程に従って安全に保管します。他者の文章や研究成果を利用するときは引用元を示し、得られた事実を誇張したり都合よく変えたりせず、正確に報告します。
ひっかけポイント
個人情報を守るために「研究終了後すぐにデータを破棄する」が適切に見えるかもしれません。しかし、研究データは結果の確認や研究の信頼性を保つため、研究計画、倫理指針、所属機関の規程で定められた期間、安全に保存する必要があります。
介護実践でのポイント
日常の支援で知り得た情報を、本人の同意なく研究や発表へ転用してはいけません。本人との支援関係を利用して参加を迫らず、断ってもサービスに影響しないことを明確に伝えます。記録や発表資料から氏名、住所、施設名、特徴的な経歴などを除いても、情報の組合せで本人が特定されないか確認します。
選択肢の確認
1.研究内容を説明して、事例対象者の同意を得る。
正しいです。
研究の目的、方法、個人情報の取扱い、成果の公表などを分かりやすく説明し、事例対象者の自由意思による同意を得ることは、研究対象者の尊厳と権利を守る基本的な倫理的配慮です。
2.個人が特定できるように、氏名を記載する。
誤りです。
氏名を記載すると、プライバシーや個人情報が侵害されるおそれがあります。研究に必要な範囲を超える識別情報は除き、情報の組合せによる特定可能性にも配慮します。
3.得られたデータは、研究終了後すぐに破棄する。
誤りです。
研究データは、研究結果の根拠や適正な実施を確認できるように、研究計画、倫理指針、所属機関の規程などに従って一定期間安全に保存します。保存期間終了後は、復元できない方法で適切に廃棄します。
4.論文の一部であれば、引用元を明示せずに利用できる。
誤りです。
利用する範囲が短くても、他者の文章、考え、データなどを利用するときは引用元を明示します。適切な表示をせずに流用することは、盗用に当たる可能性があります。
5.研究成果を得るために、事実を拡大解釈する。
誤りです。
期待する成果に合わせて事実を誇張したり、根拠を超えて解釈したりすると、研究の信頼性が損なわれます。得られた事実と解釈を区別し、研究の限界も含めて正確に報告する必要があります。
覚えるポイント
- 人を対象とする研究では、対象者の尊厳と権利を守る。
- 研究内容を分かりやすく説明し、自由意思による同意を得る。
- 研究協力を断っても不利益を受けないことを伝える。
- 同意は署名だけではなく、説明・理解・自発的決定の過程である。
- 氏名を伏せるだけでなく、情報の組合せによる特定にも注意する。
- 研究データは定められた期間、安全に保存した後、適切に廃棄する。
- 他者の文章や成果を利用するときは、引用元を明示する。
- 事実を誇張・改変せず、研究の限界も含めて正確に報告する。