35Q56第35回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ障害の理解

Bさん(21歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)を発症し、継続した内服によって幻覚や妄想などの症状は改善しているが、意欲や自発性が低下して引きこもりがちである。現在、Bさんは、外来に通院しながら自宅で生活していて、就労を考えるようになってきた。 介護福祉職が就労に向けて支援するにあたり留意すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 5

正答

5.Bさん自身が物事を決め、実行できるように関わる。

この問題のポイント

障害のある人への支援では、本人の自己決定を尊重し、必要な情報や経験、実行のための支援を提供する意思決定支援が重要です。支援者が代わりに決めるのではなく、Bさん自身が希望する就労を選び、行動できるように関わります。

解説

Bさんの幻覚や妄想は、統合失調症の陽性症状です。現在みられる意欲や自発性の低下、引きこもりがちな状態は、陰性症状として現れることがあります。これらを本人の性格や努力不足と決めつけてはいけません。

一方で、Bさんは就労を考えるようになっています。この希望を出発点として、どのような仕事を望むのか、勤務時間や環境について何を大切にしたいのか、どのような不安があるのかを本人に確認します。

意思決定支援では、本人が理解しやすい方法で情報を示し、選択肢の内容や利点・不利益を一緒に整理します。見学や体験などを利用し、本人が実際の経験を基に選べるようにすることも有効です。その上で、手続きや行動を本人が可能な範囲で行えるよう支援します。

本人が決めることは、すべてを一人で行わせることではありません。必要な支援を提供しながら、最終的な選択や実行に本人の意思が反映されるようにすることが重要です。診断名だけを理由に、本人には決められないと判断してはいけません。

ひっかけポイント

選択肢5は「本人に任せて支援しない」という意味ではありません。情報の整理、選択肢の提示、体験機会の確保、手続きの補助などを行いながら、決定の主体を本人に置くという意味です。

介護実践でのポイント

希望する仕事内容、勤務時間、通勤方法、職場で受けたい配慮などをBさんの言葉で確認します。情報は一度に詰め込まず、具体的に整理し、必要に応じて紙に書いて伝えます。小さな目標に分け、見学や体験後に本人の感想を確かめながら進めます。疲労、睡眠、ストレスや症状の変化を観察し、本人の同意を得ながら医療職や就労支援機関と連携します。

選択肢の確認

1.あいまいな言葉で説明する。

誤りです。
あいまいな説明では、内容や選択肢を理解して比較することが難しくなる場合があります。情報を整理し、ゆっくり具体的に伝えることが適切です。

2.代理で手続きを進める。

誤りです。
最初から支援者が代理で進めると、Bさんが選び、経験し、実行する機会を奪うことになります。必要な部分を確認し、本人の同意を得ながら一緒に進めます。

3.介護福祉職が正しいと考える支援を行う。

誤りです。
支援者の価値観を優先する一方的な支援です。介護福祉職が望ましいと考える選択と異なる場合でも、Bさんの希望や価値観を確認し、本人の意思を尊重します。

4.Bさんに意欲をもつように強く指示する。

誤りです。
意欲の低下は統合失調症の陰性症状として現れることがあります。強い指示や叱咤は負担やストレスを高める可能性があり、本人のペースに合わせた支援が必要です。

5.Bさん自身が物事を決め、実行できるように関わる。

正しいです。
本人の自己決定を尊重し、理解しやすい情報、選択肢、体験機会、実行のための支援を提供する意思決定支援です。

覚えるポイント

  • 幻覚や妄想は、統合失調症の陽性症状である。
  • 意欲や自発性の低下、引きこもりがちな状態は、陰性症状として現れることがある。
  • 陰性症状を、性格や努力不足と決めつけない。
  • 支援の原則は本人の自己決定の尊重である。
  • 意思決定に必要な情報は、理解しやすく具体的に伝える。
  • 支援者が代わりに決めるのではなく、本人が選び実行できるよう支援する。
  • 本人が決めることと、支援せずに任せきりにすることは異なる。
  • 本人の同意を得ながら、医療職や就労支援機関と連携する。

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