35Q16|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
「高齢者虐待防止法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。 (注)「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
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正解: 4
正答
4.虐待を発見した養介護施設従事者には、通報する義務がある。
この問題のポイント
養介護施設従事者等は、自分が勤務する施設や事業で、ほかの従事者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見したとき、速やかに市町村へ通報しなければなりません。虐待を確定できるまで待つのではなく、「虐待を受けたと思われる」段階で通報します。
解説
「高齢者虐待防止法」は、高齢者虐待を「養護者による高齢者虐待」と「養介護施設従事者等による高齢者虐待」に分けて規定しています。対象となる高齢者は、原則として65歳以上の人であり、介護保険施設の入所者だけに限られません。
養介護施設従事者等は、勤務する養介護施設や養介護事業において、ほかの養介護施設従事者等による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合、速やかに市町村へ通報する義務があります。施設内部の上司へ報告するだけで終わらせず、法令と自治体の手順に従って市町村へつなげます。
虐待の種類には、身体的虐待、介護・世話の放棄・放任、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待があります。徘徊を防ぐという理由で本人を車いすに固定する行為は、身体の自由を制限する身体拘束です。「安全のため」という目的で行っても、身体拘束であること自体は変わりません。
身体拘束は原則として行ってはならず、緊急やむを得ない場合であっても、切迫性、非代替性、一時性のすべてを慎重に検討し、組織的な判断、本人・家族への説明、記録、継続的な見直しが必要です。
高齢者虐待への対応は、警察署長が虐待を認定して始めるものではありません。市町村が通報・届出を受け、安全確認や事実確認を行い、必要な保護や支援につなげます。生命や身体に差し迫った危険や犯罪の可能性がある場合には、警察や救急との連携も必要です。
ひっかけポイント
通報に必要なのは、介護福祉職が虐待を「証明」することではありません。「虐待を受けたと思われる」段階で通報します。また、施設内の上司への報告と、市町村への法定通報を混同しないことが重要です。
介護実践でのポイント
虐待が疑われるときは、まず本人の安全を確保し、けがや体調、本人の言葉、発見時刻、周囲の状況を客観的に記録します。本人や関係者を誘導的に問い詰めたり、職員だけで秘密裏に調査を完結させたりせず、速やかに市町村の高齢者虐待対応窓口へ通報します。養護者による虐待では、虐待を行った人を責めるだけでなく、介護負担、孤立、疾病、経済問題などを把握し、養護者への支援も行います。
選択肢の確認
1.虐待が起こる場として、家庭、施設、病院の3つが規定されている。
誤りです。
高齢者虐待防止法は、場所を家庭・施設・病院の3種類に分けるのではなく、養護者による虐待と養介護施設従事者等による虐待を規定しています。
2.対象は、介護保険制度の施設サービス利用者とされている。
誤りです。
法律の対象は、原則として65歳以上の高齢者です。介護保険施設のサービス利用者だけに限定されていません。
3.徘徊{はいかい}しないように車いすに固定することは、身体拘束には当たらない。
誤りです。
本人が車いすから自由に立ち上がったり移動したりできないよう固定することは、身体の自由を制限する身体拘束に当たります。
4.虐待を発見した養介護施設従事者には、通報する義務がある。
正しいです。
養介護施設従事者等は、勤務する施設・事業で、養介護施設従事者等による虐待を受けたと思われる高齢者を発見したとき、速やかに市町村へ通報する義務があります。
5.虐待の認定は、警察署長が行う。
誤りです。
市町村が通報・届出を受けて安全確認や事実確認を行い、必要な対応を判断します。警察署長が一律に虐待を認定する仕組みではありません。
覚えるポイント
- 高齢者虐待防止法は、養護者による虐待と養介護施設従事者等による虐待を規定する。
- 高齢者は、原則として65歳以上の人である。
- 虐待は、身体的、放棄・放任、心理的、性的、経済的の5類型で捉える。
- 養介護施設従事者等は、虐待を受けたと思われる高齢者を発見した段階で市町村へ通報する。
- 車いすへの固定は、目的にかかわらず身体拘束に当たる。
- 身体拘束は原則禁止であり、緊急やむを得ない場合も厳格な検討と記録が必要である。
- 通報時は、虐待を自分で証明しようとせず、本人の安全確保と客観的な記録を優先する。
- 養護者による虐待では、高齢者の保護とともに養護者への支援も行う。