35Q117|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで,問題 117 から問題 119 までについて答えなさい。 〔事 例〕Bさん(75 歳,男性,要介護 3 )は, 1 年前に脳梗塞(cerebral infarction)を発症し,右片麻痺がある。自宅では,家具や手すりにつかまって,なんとか自力歩行し,外出時は車いすを使用していた。うまく話すことができないこともあるが,他者の話を聞き取って理解することは,問題なくできていて,介護保険サービスを利用しながら,一人で暮らしていた。数か月前から着替えや入浴に介助が必要になり,在宅生活が難しくなったため, 1 週間前にU介護老人福祉施設に入所した。 入所時の面談でBさんは,自分の力で歩きたいという意思を示した。U介護老人福祉施設では,C介護福祉士をBさんの担当者に選定した。C介護福祉士は,カンファレンス(conference)での意見に基づいて,Bさんが,四点杖を使用して,安全に施設内を歩行できることを短期目標とした介護計画を立案した。 入所から 2 か月が経過した。C介護福祉士は,Bさんの四点杖歩行の様子を観察したところ,左立脚相と比べて,右立脚相が短いことが気になった。Bさんの短期目標を達成するために,理学療法士と相談して,転倒予防の観点から,見守り歩行をするときの介護福祉職の位置について,改めて周知することにした。 Bさんの四点杖歩行を見守るときに介護福祉職が立つ位置として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 2
正答
2.Bさんの右側後方
この問題のポイント
Bさんには右片麻痺があり、右立脚相が左立脚相より短くなっています。立脚相は、その足が床について体重を支える時期です。転倒時に支えやすい患側の後方に位置します。
解説
歩行周期は、足が床について体重を支える「立脚相」と、足が床から離れて前に運ばれる「遊脚相」に分けられます。Bさんでは右立脚相が短いため、麻痺側である右下肢への荷重や支持が十分に続かず、右側へバランスを崩す危険に注意します。
平地で杖歩行を見守るとき、介護福祉職は基本的に患側の斜め後方に立ちます。Bさんでは右側後方です。この位置なら、歩行を妨げずに見守りながら、右膝の折れ、右側へのふらつき、後方への転倒などが起きたときに体幹や骨盤を支えられます。
片麻痺のある人は一般に杖を健側の手で持つため、Bさんでは左手で四点杖を使うことが想定されます。右側後方に立つと杖の操作も妨げにくくなります。ただし、状態により方法は変わるため、理学療法士と共有した方法で統一して支援します。
ひっかけポイント
「右立脚相が短い」とは、右足を前へ出す時間が短いという意味ではありません。右足が床について身体を支える時間が短いという意味です。介護福祉職は右側後方に位置します。
介護実践でのポイント
患側後方から見守り、麻痺した上肢を引っ張らず、必要時には体幹や骨盤を支えます。歩行前には、四点杖の高さと置き方、杖先ゴム、履物、床面、動線、疲労や体調も確認します。
選択肢の確認
1.Bさんの右側前方
誤りです。 右側は患側ですが、前方に立つと進路や杖・足の運びを妨げやすく、後方や側方へ崩れたときに支えにくくなります。
2.Bさんの右側後方
正しいです。 右片麻痺のBさんに対して、患側のふらつきや膝折れ、転倒に対応しやすく、歩行を妨げにくい位置です。
3.Bさんの真後ろ
誤りです。 真後ろでは右側への崩れを患側から支えにくくなります。右側後方のほうが適切です。
4.Bさんの左側前方
誤りです。 左側は健側で、しかも前方では歩行を妨げやすくなります。右患側の支持にも適していません。
5.Bさんの左側後方
誤りです。 後方に位置しても、健側である左側では、右側へのふらつきや右膝の折れに対応しにくくなります。
覚えるポイント
- 立脚相は、足が床について体重を支える時期である。
- 片麻痺の平地歩行では、介護者は原則として患側の斜め後方に位置する。
- 右片麻痺のBさんでは「右側後方」である。
- 杖歩行の介助方法は、本人の状態を評価し、理学療法士などと統一する。