34Q96|第34回 介護福祉士国家試験 過去問
Hさん(45歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)を発症して半年間入院した。退院してからは、障害者支援施設に入所して自立訓練を受けている。2か月ほど過ぎたが、右片麻痺(みぎかたまひ)と言語障害が残っている。妻のJさん(35歳)はパート勤務で、小学3年生の子どもがいて、将来が見えずに不安な気持ちである。 家族に対する介護福祉職の支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 1
正答
1.家族の不安な気持ちに寄り添い、今の課題を一緒に整理し考えていく。
この問題のポイント
家族が将来への不安を抱えているときは、すぐに結論やサービスを提示するのではなく、まず気持ちを受け止めます。そのうえで、何が不安なのか、今どのような課題があるのかを家族と一緒に整理し、本人の意思を尊重しながら必要な支援へつなげます。
解説
Hさんは脳梗塞後の右片麻痺と言語障害が残り、障害者支援施設で自立訓練を受けています。妻のJさんは仕事と子育てを担いながら、夫の回復、今後の住まい、家計、育児との両立、必要となる介護など、将来を具体的に見通せず不安を感じていると考えられます。
この段階で最も重要なのは、Jさんの不安を否定せずに傾聴し、漠然とした不安を一つずつ具体的な課題へ整理することです。Hさん本人の希望や訓練の状況も確認しながら、家族と専門職が一緒に今後の生活を考えることで、必要な情報提供、制度利用、多職種との連携へつなげられます。
家族の意向は重要ですが、Hさんの生活の方向性を妻だけ、または専門職だけで決めることは適切ではありません。言語障害があっても、表情、身振り、絵や文字、選択肢の提示など本人に合った方法を用いて意思を確認し、Hさんの自己決定を支える必要があります。
ひっかけポイント
「家族支援」だから家族の意向を最優先にするのではありません。家族の思いを尊重して支えながらも、生活の主体である本人の意思を中心に、家族と専門職が協働して方向性を考えます。
介護実践でのポイント
不安を「介護」「仕事」「子育て」「経済」「住まい」「病状や回復の見通し」などに分けて整理し、医師、リハビリテーション職、相談支援専門員、サービス管理責任者、医療ソーシャルワーカーなどと連携します。情報共有はHさんの同意とプライバシーに配慮します。
選択肢の確認
1.家族の不安な気持ちに寄り添い、今の課題を一緒に整理し考えていく。
正しいです。
まず家族の不安を受け止め、背景にある具体的な課題を一緒に整理することで、本人と家族の希望に沿った情報提供や支援につなげることができます。
2.Jさんの気持ちを最優先して方向性を決める。
誤りです。
Jさんの気持ちは大切ですが、生活の方向性はHさん本人の意思を中心に検討します。家族だけの意向を最優先にして決定することは、本人の自己決定を損なう可能性があります。
3.訓練の様子を伝えるために、頻繁にJさんに施設に来てもらう。
誤りです。
仕事と子育てをしているJさんへ頻繁な来所を求めると、負担を増やす可能性があります。本人の同意を得たうえで、電話、オンライン、面談などから家族が無理なく利用できる情報共有方法を一緒に決めます。
4.家族が困っているので専門職主導で方向性を決める。
誤りです。
専門職は情報提供や選択肢の整理を支援しますが、一方的に方向性を決める立場ではありません。本人と家族が納得して選択できるように支援します。
5.レスパイトケアを勧める。
誤りです。
レスパイトケアは家族介護者の休息を支える方法ですが、Hさんは現在施設に入所しており、Jさんの主な訴えは将来が見えないことへの不安です。課題を把握しないまま、最初からレスパイトケアを勧めることは適切ではありません。
覚えるポイント
- 家族の不安には、まず傾聴と共感で応じる。
- 漠然とした不安を、具体的な生活課題へ一緒に整理する。
- 家族支援でも、生活の主体である本人の意思を尊重する。
- 専門職が一方的に方向性を決めない。
- 家族の仕事、子育て、経済状況なども含めて支援を考える。
- 言語障害があっても、本人に合った方法で意思を確認する。