77PM72|第77回 診療放射線技師国家試験 過去問
60Co γ 線のエネルギースペクトル測定の結果を図に示す。 エスケープピークはどれか。

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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
⁶⁰Co γ 線スペクトルでは、主に 1.17 MeV と 1.33 MeV の 2 本の γ 線ピークが現れます。
エスケープピークは、検出器内で電子対生成が起こり、その後に発生した 511 keV 消滅放射線の一部が検出器外へ逃げることで生じます。
図では、1.17 MeV や 1.33 MeV の全吸収ピークより低いエネルギー側にある ア がエスケープピークです。
解説
⁶⁰Co は β⁻ 壊変後、主に 2 本の γ 線を放出します。
- 約 1.17 MeV
- 約 1.33 MeV
図中の鋭いピーク イ と ウ は、この 2 本の γ 線の全エネルギーが検出器内で吸収された全吸収ピークに相当します。
一方、γ 線エネルギーが 1.022 MeV を超えると、検出器内で電子対生成が起こり得ます。
電子対生成では、γ 線のエネルギーから電子と陽電子が作られます。陽電子は周囲の電子と消滅し、511 keV の消滅放射線を 2 本放出します。
この 511 keV の消滅放射線の一部が検出器外へ逃げると、検出器に記録されるエネルギーは本来の γ 線エネルギーより低くなります。
このように、消滅放射線が逃げたために全吸収ピークより低エネルギー側に現れるピークをエスケープピークといいます。
⁶⁰Co の γ 線では、
- 1.17 MeV − 0.511 MeV ≒ 0.66 MeV
- 1.33 MeV − 0.511 MeV ≒ 0.82 MeV
付近に単一エスケープピークが現れます。
図では、この低エネルギー側のピーク群に対応する矢印が ア です。
画像でまず見るポイント
エスケープピークは、全吸収ピークより511 keV 低い位置に現れます。
図では、イ・ウの全吸収ピークより左側、約 0.7〜0.8 MeV 付近にあるアを確認します。
ひっかけポイント
⁶⁰Co の有名なピークは 1.17 MeV と 1.33 MeV ですが、これは全吸収ピークです。
エスケープピークはそれより低エネルギー側に出ます。
選択肢の確認
1.正しい。
アは、⁶⁰Co の全吸収ピークより 511 keV 程度低いエネルギー側にみられるピークです。電子対生成後の消滅放射線が検出器外へ逃げたことで生じるエスケープピークに相当します。
2.誤り。
イは、⁶⁰Co が放出する約 1.17 MeV γ 線の全吸収ピークに相当します。エスケープピークではありません。
3.誤り。
ウは、⁶⁰Co が放出する約 1.33 MeV γ 線の全吸収ピークに相当します。エスケープピークではありません。
4.誤り。
エは、高エネルギー側の連続成分または散乱成分に関連する構造として考えます。全吸収ピークから 511 keV 低い位置に現れるエスケープピークではありません。
5.誤り。
オは、約 2.5 MeV 付近のピークで、⁶⁰Co の 1.17 MeV と 1.33 MeV の γ 線が同時に検出された場合のサムピークとして考えられます。エスケープピークではありません。
覚えるポイント
- ⁶⁰Co は約 1.17 MeV と 1.33 MeV の γ 線を放出します。
- イ・ウは全吸収ピークです。
- 電子対生成は、γ 線エネルギーが 1.022 MeV を超えると起こり得ます。
- 消滅放射線 511 keV が逃げると、エスケープピークが生じます。
- 単一エスケープピークは、全吸収ピークより 0.511 MeV 低い位置に現れます。
- 図では、低エネルギー側の ア がエスケープピークです。
