77AM59|第77回 診療放射線技師国家試験 過去問
細胞に総線量 12 Gy を照射した場合、細胞の生存率が最も高くなる条件はどれか。 ただし、他の条件は全て同じとし、細胞の α/β は 10 Gy とする。
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
この問題では、同じ総線量 12 Gy を照射した場合に、細胞生存率が最も高くなる分割照射条件を考えます。
ポイントは次の 2 つです。
- 1 回線量が小さいほど細胞障害は小さくなりやすい
- 照射期間が長いほど修復や再増殖の時間が増える
したがって、最も細胞生存率が高くなる条件は、1 Gy/回で、かつ最も長い期間に分けて照射する条件です。
正答は 1.1 Gy/回とし、週 3 回 4 週間で照射する。 です。
解説
放射線による細胞生存率は、線形二次モデル〈LQ モデル〉でよく説明されます。
LQ モデルでは、細胞障害は主に次の 2 つの成分で考えます。
- α 成分:線量に比例する成分
- β 成分:線量の 2 乗に比例する成分
1 回線量が大きいほど、β 成分の影響が大きくなり、細胞障害は増えやすくなります。
この問題では、総線量はすべて 12 Gy です。
したがって、細胞生存率を高くするには、1 回線量を小さくして、分割回数を多くする方が有利です。
生物学的効果線量で考える
α/β = 10 Gy のとき、分割照射の生物学的効果線量〈BED〉は次の式で考えられます。
- BED = nd ×(1 + d /(α/β))
ここで、
- n:分割回数
- d:1 回線量
- nd:総線量
総線量は 12 Gy なので、d が小さいほど BED は小さくなります。
1 Gy/回の場合、
- BED = 12 ×(1 + 1/10)
- BED = 12 × 1.1
- BED = 13.2 Gy
2 Gy/回の場合、
- BED = 12 ×(1 + 2/10)
- BED = 12 × 1.2
- BED = 14.4 Gy
つまり、1 Gy/回の方が 2 Gy/回より生物学的効果が小さく、細胞生存率は高くなりやすいです。
さらに、1 Gy/回の選択肢の中では、週 3 回 4 週間が最も照射期間が長く、修復や再増殖の時間が確保されます。
ひっかけポイント
総線量が同じでも、1 回線量と照射期間で生物学的効果は変わります。
「12 Gy は全部同じ」と考えず、1 回線量と全体の照射期間を確認します。
選択肢の確認
1.正しい。
1 Gy/回で総線量 12 Gy を 12 回に分け、週 3 回 4 週間で照射します。
1 回線量が小さく、照射期間も最も長いため、細胞の修復や再増殖が起こりやすく、生存率が最も高くなります。
2.誤り。
1 Gy/回である点は細胞生存率を高くしやすい条件です。
しかし、週 4 回 3 週間であり、選択肢 1 より照射期間が短いため、選択肢 1 の方が生存率は高くなりやすいです。
3.誤り。
2 Gy/回では、1 Gy/回より 1 回線量が大きくなります。
LQ モデルでは 1 回線量が大きいほど生物学的効果が大きくなり、細胞生存率は低下しやすくなります。
4.誤り。
1 Gy/回ですが、1 日 2 回で連続 6 日間の照射です。
総期間が短く、選択肢 1 より修復や再増殖の時間が少ないため、最も生存率が高い条件ではありません。
5.誤り。
2 Gy/回で、さらに 1 日 2 回、連続 3 日間です。
1 回線量が大きく、照射期間も短いため、細胞生存率は低くなりやすい条件です。
覚えるポイント
- 総線量が同じでも、1 回線量が小さいほど生物学的効果は小さくなりやすい。
- LQ モデルでは、β 成分が線量の 2 乗に比例する。
- BED = nd ×(1 + d /(α/β))で考える。
- 1 Gy/回は 2 Gy/回より細胞障害が小さくなりやすい。
- 同じ 1 Gy/回なら、照射期間が長い方が修復・再増殖により生存率が高くなりやすい。