76AM68第76回 診療放射線技師国家試験 過去問

理工学・放射線科学放射線の生物学的効果と放射線治療LETと生物学的効果

放射線による細胞障害からの回復で正しいのはどれか。

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正解: 4

正答

4

この問題のポイント

この問題では、放射線照射後の細胞障害からの回復、特に SLD 回復PLD 回復が問われています。

正しいのは、低 LET 放射線では高 LET 放射線より SLD 回復が生じやすいという記述です。

解説

放射線による細胞障害には、修復可能な障害と修復困難な障害があります。

代表的な回復には次の 2 つがあります。

  • SLD 回復〈sublethal damage repair〉
    亜致死損傷からの回復です。分割照射で照射間隔をあけると、細胞が一部の損傷を修復します。

  • PLD 回復〈potentially lethal damage repair〉
    潜在的致死損傷からの回復です。照射後の環境条件や細胞の増殖状態によって、本来なら致死的になり得る損傷が修復される現象です。

X 線や γ 線のような 低 LET 放射線では、エネルギー付与が比較的まばらです。そのため、DNA 損傷が修復可能な形で生じることがあり、SLD 回復が起こりやすくなります。

一方、α 線や重粒子線などの 高 LET 放射線では、電離が密に起こり、DNA 二重鎖切断などの複雑な損傷が多くなります。そのため、損傷は修復されにくく、SLD 回復は低 LET 放射線より少なくなります。

ひっかけポイント
高 LET 放射線は生物効果が強く、修復されにくい損傷を起こします。
「回復しやすい」のは低 LET 放射線です。

選択肢の確認

1.誤り。
PLD 回復は、高酸素時に特有に生じる現象ではありません。照射後の細胞環境や増殖条件によって影響を受けます。

2.誤り。
細胞障害からの回復は、正常細胞だけでなく、がん細胞でも観察されます。放射線治療では、腫瘍細胞の修復能力も治療効果に影響します。

3.誤り。
低 LET 放射線では、SLD 回復や PLD 回復が比較的みられやすいです。ほとんど見られないという記述は不適切です。

4.正しい。
低 LET 放射線では、高 LET 放射線より損傷が比較的修復可能であり、SLD 回復が生じやすくなります。

5.誤り。
SLD 回復は、分割照射で照射間隔をあけることにより生じやすくなります。高線量単回照射では、修復前に致死的損傷が増えやすく、SLD 回復が生じやすいとはいえません。

覚えるポイント

  • SLD 回復は亜致死損傷からの回復です。
  • PLD 回復は潜在的致死損傷からの回復です。
  • 低 LET 放射線では修復可能な損傷が多く、SLD 回復が起こりやすいです。
  • 高 LET 放射線では複雑な DNA 損傷が多く、回復は起こりにくいです。
  • 分割照射では、照射間隔中の SLD 回復が正常組織保護に関係します。

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