117B38|第117回 医師国家試験 過去問
社会医学・医療システム医療倫理・医療安全患者の権利・意思決定支援
67歳の男性。腹部膨満感、右季肋部痛およびふらつきを主訴に来院。ここ3か月で体重5kg減少。意識清明だが聴覚障害と軽度知的障害が疑われる。身寄りがなく生活保護を受給。一人暮らし。問診では十分な情報を得られず。 検査所見や診察所見からは腹水貯留や黄疸、栄養状態不良などが示唆される。 まず取るべき対応で正しいのはどれか。
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正解: b
正解
b 診療方針について患者本人に説明し意向を聞く。
解説
この症例でまず行うべきことは、患者本人にわかる形で説明し、意向を確認することである。
聴覚障害や軽度知的障害が疑われ、十分な問診が難しい状況でも、それだけで直ちに「本人は意思決定できない」と判断してはならない。
意思決定支援の基本は、まず本人の理解を支えながら意思を確認することである。
なぜ本人への説明が最優先か
- 意識は清明である。
- 聴覚障害があっても、筆談やゆっくりした説明で理解できる可能性がある。
- 軽度知的障害が疑われても、支援を加えることで意思を表明できることがある。
- 独居、身寄りがない、生活保護受給といった社会背景は、本人の意思確認を省略する理由にはならない。
実際に必要な支援
- 大きくはっきり話す。
- 筆談や図を用いる。
- 短く具体的な言葉で説明する。
- 理解できているかを確認しながら進める。
各選択肢の検討
a 医師が患者に代わって診療方針を決定する。
誤り。本人の意思確認を飛ばして医師が一方的に決めるべきではない。b 診療方針について患者本人に説明し意向を聞く。
正しい。まず行うべき対応である。c 民生委員を成年後見人とみなして診療方針について相談する。
誤り。民生委員は成年後見人ではなく、法的な代理決定権を持たない。d 患者本人の意思決定困難を理由にこれ以上の検査治療を行わない。
誤り。意思決定が難しい可能性があっても、それだけで検査や治療を中止してはならない。e 医学的検査の結果に基づき、客観的に治療の適否や内容を決定する。
誤り。医学的妥当性は重要だが、本人の意向確認を省略してよい理由にはならない。
覚えるポイント
意思決定支援では、まず本人に説明し、本人の意思を確認する努力を尽くす。
本人の理解が難しいときでも、ただちに代行決定へ進むのではなく、支援付きで意思確認を行うことが原則である。