115C066第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯周病学

次の文により65、66 の問いに答えよ。 56 歳の女性。下顎前歯部の動揺を主訴として来院した。3か月前に気付いてい たがそのままにしていたという。前方滑走運動時に前歯部の咬合接触を認める。検 査の結果、慢性歯周炎と診断し、歯周基本治療を行うこととした。初診時の口腔内 写真 別冊No. 25A 、エックス線画像 別冊No. 25B 及び歯周基本治療に用いた器 具の写真 別冊No. 25C を別に示す。歯周組織検査結果の一部を表に示す。 舌 側* ⑥ 歯 種 頰 側* ⑥ ④ 動揺度** * :プロービング深さ mm ○印:プロービング時の出血 ** :Miller の判定基準 続いて咬合調整を行うこととした。 根拠はどれか。 3つ選べ。

115C066の問題画像
3つ選択
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正解: c・d・e

正答

c、d、e

この問題のポイント

咬合調整の根拠となるのは、過大な咬合力による咬合性外傷を示す所見です。歯の動揺、垂直性骨吸収、歯根膜腔の拡大を組み合わせて判断します。

解説

症例では、下顎前歯部に動揺があり、前方滑走運動時に前歯部の咬合接触を認めます。歯周炎によって支持組織が減少した歯に過大な咬合力が加わると、二次性咬合性外傷を生じやすくなります。

咬合性外傷では、臨床的に歯の動揺やフレミタス、咬合痛などを認めることがあります。エックス線画像では、歯根膜腔の拡大、歯槽硬線の肥厚・不明瞭化、垂直性骨吸収などが手掛かりになります。

本症例では、前方滑走運動時の前歯部接触という動的咬合所見に加え、歯の動揺、垂直性骨吸収、歯根膜腔の拡大が認められるため、咬合調整を行う根拠になります。

ただし、咬合調整だけで歯周炎は治癒しません。プラークコントロール、スケーリング・ルートプレーニングなどの炎症性因子の除去を行ったうえで、必要な部位に限って選択的に咬合調整します。

治療選択のポイント
咬合性外傷は、咬合接触だけで診断せず、動揺、フレミタス、疼痛、歯根膜腔、骨吸収形態を総合して判断します。

画像の確認

実画像では、下顎前歯部の歯肉退縮と動揺が示され、デンタル像で切歯周囲の角状骨吸収と歯根膜腔の変化を確認できる。この力学的負担を軽減する咬合調整の対象所見に当たるものが正答c、d、eである。

選択肢の確認

a.咬 耗
誤り。
咬 耗は歯ぎしりや長期の咬合接触を示唆することがありますが、咬合性外傷の存在を単独で確定する所見ではありません。本症例で咬合調整の直接的根拠となる所見ではありません。

b.歯石沈着
誤り。
歯石はプラークを保持し、歯周炎の局所因子となりますが、過大な咬合力を示す所見ではありません。歯石沈着にはスケーリング・ルートプレーニングで対応します。

c.歯の動揺
正しい。
歯周支持の減少した歯に過大な咬合力が加わると、歯根膜の変化とともに動揺が増加します。咬合性外傷を疑う重要な臨床所見です。

d.垂直性骨吸収
正しい。
過大な咬合力と炎症が重なると、角状・垂直性の骨吸収を認めることがあります。本症例の咬合性外傷を支持する画像所見です。

e.歯根膜腔の拡大
正しい。
過大な咬合力に対する歯根膜の適応・障害によって、歯根膜腔が拡大します。咬合性外傷の代表的エックス線所見です。

覚えるポイント

  • 咬合性外傷では動揺、歯根膜腔拡大、垂直性骨吸収を確認します。
  • 歯石は炎症性因子であり、咬合性外傷そのものの所見ではありません。
  • 咬合調整は歯周基本治療と組み合わせて行います。

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