115C059第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯内療法学

85 歳の女性。上顎右側臼歯部の咬合痛を主訴として来院した。軽度認知症の状 態で過去にインレーを誤飲したことがあるという。 4と 6の根管治療を行った 後、同部の金属冠を製作した。完成後の金属冠の写真 (別冊No. 21 )を別に示す。一 連の治療過程を図に示す。 本症例において、矢印で示す構造を取り除く時期はどれか。 1つ選べ。

115C059の問題画像
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正解: d または e

正答

d又はe

この問題のポイント

矢印で示す輪状構造は、金属冠へ結紮糸やデンタルフロスを取り付けて誤嚥・誤飲を防止するための安全装置です。冠を口腔内で扱う間は残し、脱落の危険がなくなってから除去します。

解説

症例は軽度認知症があり、過去にインレーを誤飲しています。このため、小さな補綴装置を試適・調整する際の誤嚥・誤飲対策が特に重要です。

写真の金属冠には、頰側面に輪状の把持部が付与されています。ここへデンタルフロスなどを結び、冠が術者の手指や器具から外れても咽頭へ落下しないようにします。

治療過程は、試適、隣接面調整、適合確認、咬合調整、装着、装着後の咬合確認の順です。安全装置は、試適と各種調整が終了するまで残します。

標準的には、すべての試適・調整が終わり、最終装着へ進む直前であるエの時期に除去します。一方、装着操作中も誤嚥リスクを避けるため装置を残し、冠が合着・接着されて脱落しなくなった後のオで除去する手順も受入れ正答となっています。

医療安全上のポイント
誤嚥・誤飲リスクが高い患者では、ラバーダム、咽頭部ガーゼ、吸引、デンタルフロスによる結紮などを処置内容に応じて使い分けます。

画像の確認

実画像では、作業模型上の2個の金属冠に金属製ループが付けられ、試適中に歯冠を保持・回収できる形態になっている。工程図では標準的な除去時期は咬合調整後・装着前のエ(d)だが、公式データは装着後のオ(e)も受入れ正答に含めている。画像だけではどちらの運用を採るかは示されないため、可視構造と受入れ正答範囲を分けて扱う。

選択肢の確認

a.ア
誤り。
アは試適後、隣接面調整へ進む前です。この後も冠を繰り返し着脱するため、この時点で安全装置を除去するのは早すぎます。

b.イ
誤り。
イは隣接面調整後、適合確認へ進む前です。まだ適合確認と咬合調整が残っており、誤嚥・誤飲防止のため安全装置を維持します。

c.ウ
誤り。
ウは適合確認後、咬合調整へ進む前です。咬合調整中にも冠を着脱するため、安全装置を残しておきます。

d.エ
正答。標準的な除去時期です。
エは隣接面、適合、咬合の調整が終了し、最終装着へ進む直前です。試適中の誤嚥・誤飲リスクがなくなる段階で、安全装置を除去します。

e.オ
正答として受け付けられます。
オは冠を装着した後、最終的な咬合確認へ進む前です。装着操作中も安全装置を残し、冠が固定されて脱落しなくなった後に除去する方法も安全上合理的です。

覚えるポイント

  • 輪状構造は補綴装置の誤嚥・誤飲防止用安全装置です。
  • 試適、適合確認、咬合調整が終わるまでは残します。
  • 本問ではエ又はオが受入れ正答です。

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