39AM71|第39回 臨床工学技士国家試験 過去問
人工心肺装置を用いた体外循環中の反応について誤っているのはどれか。 a.低体温体外循環は生体酸素需要を増加させる。 b.血液希釈法は末梢血管抵抗を増加させる。 c.血液中アルドステロン濃度は増加する。 d.血液中アドレナリン濃度は増加する。 e.血小板数は増加する。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
この問題では、人工心肺装置を用いた体外循環中の生体反応について、誤っている小項目の組合せを選びます。
体外循環中には、血液が人工材料表面に接触すること、低体温、血液希釈、非生理的灌流、手術侵襲などにより、さまざまな生体反応が起こります。
重要な整理は次のとおりです。
- 低体温では代謝が抑制され、生体酸素需要は低下する
- 血液希釈では血液粘稠度が低下し、末梢血管抵抗は低下しやすい
- 手術侵襲や体外循環により、カテコールアミンやホルモン反応は亢進する
- 血小板は人工材料表面への接触、活性化、消費、希釈などで減少しやすい
したがって、誤っている小項目は a、b、e であり、選択肢では2が正答です。
解説
人工心肺装置を用いた体外循環では、血液が体外回路、人工肺、リザーバ、チューブなどの人工材料表面に接触します。
この非生理的な環境により、凝固線溶系、補体、炎症反応、内分泌反応、血小板機能などが変化します。
また、心臓手術では臓器保護を目的として低体温体外循環が行われることがあります。低体温では細胞代謝が抑制されるため、酸素消費量は低下します。これは臓器保護の重要な理由です。
一方、体外循環ではプライミング液による血液希釈が起こります。血液希釈によりヘマトクリットは低下し、血液粘稠度も低下します。そのため、一般に末梢血管抵抗は低下しやすくなります。
さらに、手術侵襲や非拍動流、低体温、血圧変動などにより、交感神経系や内分泌系が刺激されます。そのため、血液中のアドレナリンやアルドステロンなどは増加しやすくなります。
血小板は、体外回路内での機械的刺激や人工材料表面への接触により活性化・消費されます。また、血液希釈の影響も受けるため、血小板数は増加ではなく減少しやすいです。
ひっかけポイント
低体温は「体が冷えるので負担が大きく酸素需要が増える」と考えがちですが、実際には代謝を抑えて酸素需要を下げる目的で用いられます。
臨床工学技士としての注意点
体外循環では、灌流量、圧、温度、ヘマトクリット、血液ガス、抗凝固、尿量、混合静脈血酸素飽和度、血小板、溶血、回路内凝血を総合的に監視します。
小項目の確認
a.記述としては誤り。
低体温体外循環では、生体の代謝が抑制されるため、酸素需要は増加ではなく低下します。臓器保護のために低体温を用いる理由の1つです。
b.記述としては誤り。
血液希釈法では、血液粘稠度が低下します。そのため、末梢血管抵抗は増加ではなく、一般に低下しやすいです。
c.記述としては正しい。
体外循環や手術侵襲では、循環動態や内分泌反応の変化により、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系が亢進し、血液中アルドステロン濃度は増加しやすくなります。
d.記述としては正しい。
手術侵襲、体外循環、低体温、循環変動などのストレスにより、交感神経系が刺激されます。そのため、血液中アドレナリン濃度は増加しやすくなります。
e.記述としては誤り。
体外循環中は、血小板が人工材料表面への接触や機械的刺激で活性化・消費されます。また血液希釈の影響も受けるため、血小板数は増加ではなく減少しやすいです。
選択肢の確認
1.誤り。
選択肢1は a、b、c の組合せです。aとbは誤りですが、cは記述として正しいため、誤っている小項目の組合せとしては不適切です。
2.正しい。
選択肢2は a、b、e の組合せです。低体温体外循環は酸素需要を低下させ、血液希釈は末梢血管抵抗を低下させやすく、血小板数は増加ではなく減少しやすいです。したがって、誤っている小項目の組合せとして正しいです。
3.誤り。
選択肢3は a、d、e の組合せです。aとeは誤りですが、dは記述として正しいため、不適切です。
4.誤り。
選択肢4は b、c、d の組合せです。bは誤りですが、cとdは記述として正しいため、不適切です。
5.誤り。
選択肢5は c、d、e の組合せです。eは誤りですが、cとdは記述として正しいため、不適切です。
覚えるポイント
- 低体温体外循環では、代謝が抑制され、生体酸素需要は低下する。
- 血液希釈では、血液粘稠度が低下し、末梢血管抵抗は低下しやすい。
- 体外循環や手術侵襲により、アドレナリンやアルドステロンは増加しやすい。
- 体外循環中は、血小板の活性化、消費、希釈により、血小板数は減少しやすい。
- この問題では、誤っている小項目は a、b、e である。