9PM137|第9回 公認心理師国家試験 過去問
重力についての乳児の理解を調べる実験を行った。まず、乳児に、 2 つの箱が床に縦に積まれた形で置かれている様子を見せた。そして、乳児の目の前で、下段の箱を横から引き抜いた。その際、上段の箱が、条件Aでは重力に従って床に落ち、条件Bでは重力に逆らって宙に浮いたように見えるようにした。条件Aと条件Bの試行を別々に行い、上段の箱に対する乳児の注視時間を条件間で比較した。 この研究手法の名称として、最も適切なものを 1 つ選べ。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
この問題では、乳児の認知発達を調べる研究法のうち、期待違反法が問われています。
乳児にとって「ありえそうな出来事」と「ありえなさそうな出来事」を見せ、どちらを長く注視するかを比較する方法です。重力に反して箱が宙に浮いたように見える条件は、乳児の期待に反する出来事として設定されています。
解説
乳児は言葉で説明したり、質問に答えたりできません。そのため、乳児研究では、注視時間、吸啜反応、振り向き、視線の向きなどを手がかりに、乳児が何を区別し、何を期待しているかを推測します。
期待違反法では、乳児がすでにもっていると考えられる物理的・社会的な期待に反する出来事を提示します。乳児がその出来事を予想外だと感じれば、通常より長く見ると考えます。
この事例では、上段の箱は下段の箱を引き抜かれると床に落ちるのが自然です。条件Aでは重力に従って落下し、条件Bでは重力に逆らって宙に浮いたように見えます。条件Bは、乳児の物理的期待に反する不可能事象です。この条件間の注視時間を比較しているため、期待違反法が最も適切です。
ひっかけポイント
注視時間を使う研究法は複数あります。「ありえない出来事」「期待に反する出来事」を見せて注視時間を比較する場合は、期待違反法を選びます。
選択肢の確認
1.恒常法
判定:適切とはいえない。
恒常法は、心理物理学で用いられる方法で、刺激を一定の範囲で提示し、閾値などを測定する手法です。乳児に不可能事象を見せて注視時間を比較する方法ではありません。
2.期待違反法
判定:最も適切。
期待違反法は、乳児が予想していると考えられる出来事に反する場面を見せ、その注視時間が長くなるかを調べる方法です。重力に反して箱が宙に浮く条件を設定している点が、期待違反法に合っています。
3.選好注視法
判定:適切とはいえない。
選好注視法は、2つ以上の刺激を同時または比較可能な形で提示し、乳児がどちらを長く見るかによって刺激への選好や弁別を調べる方法です。この問題は、不可能事象への注視時間を比較しているため、期待違反法がより適切です。
4.振り向き法
判定:適切とはいえない。
振り向き法は、音声刺激などに対して乳児が振り向く反応を利用し、音や言語の弁別などを調べる方法です。箱の落下や宙に浮く場面への注視時間を比較する本問とは異なります。
5.馴化 - 脱馴化法
判定:適切とはいえない。
馴化 - 脱馴化法は、同じ刺激を繰り返し提示して反応が低下した後、新しい刺激を提示して反応が回復するかを見る方法です。この問題では、馴化させた後の反応回復ではなく、期待に反する出来事への注視時間を比較しています。
覚えるポイント
- 期待違反法は、乳児に予想外の出来事を見せ、注視時間の長さから理解を推測する方法です。
- 乳児研究では、言語報告ではなく、注視時間や反応を手がかりにします。
- 「不可能事象」「物理的期待に反する」「長く見る」は期待違反法のキーワードです。
- 選好注視法は、刺激への好みや弁別を調べる方法です。
- 馴化 - 脱馴化法は、反復提示による反応低下と新奇刺激への反応回復を利用します。