7AM67|第7回 公認心理師国家試験 過去問
63 歳の女性A、嘱託職員。軽度の脳梗塞の既往歴はあるが、麻痺などの後遺症はない。物忘れが最近気になるとのことで、夫Bに伴われて精神科クリニックを受診した。同じ職場で働くBによると、Aは、半年前、昼食中に吐き気を訴えた後、一点を見つめ、呼びかけに答えなくなった。1分程で呼びかけに答えるようになったが、ぼんやりとした状態は夕方まで続いた。翌日、Aはこのことを覚えていなかった。以来、職場への道順や、料理の手順が分からなくなることがある。また、口を急にもぐもぐさせたり、ぼんやりしたりすることもある。その一方で、仕事に支障はなく、現在も続けられている。 Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
この問題では、物忘れを主訴に受診した高齢者について、認知症ではなく、てんかん発作として理解できる所見を読み取ることが問われています。
事例のキーワードは、「一点を見つめる」「呼びかけに答えない」「口を急にもぐもぐさせる」「ぼんやりする」「翌日覚えていない」です。
解説
Aには、意識が一時的に障害される発作性のエピソードがみられます。
昼食中に吐き気を訴えた後、一点を見つめ、呼びかけに答えなくなり、その後ぼんやりした状態が続き、翌日その出来事を覚えていません。また、口を急にもぐもぐさせるという自動症のような行動もみられています。
これらは、焦点性意識減損発作などのてんかん発作でみられることがあります。発作中の意識障害、発作後のもうろう状態、発作の記憶がないこと、自動症が重要な手がかりです。
職場への道順や料理の手順が分からなくなることもありますが、仕事に大きな支障なく継続できていることから、進行性の認知症だけで説明するより、発作性の意識障害や記憶障害を伴うてんかんとして理解するのが最も適切です。
事例問題で見るポイント
高齢者の「物忘れ」では、認知症だけでなく、てんかん、せん妄、うつ病、薬剤、身体疾患なども鑑別します。発作性、反復性、意識障害、自動症、発作後の健忘を確認します。
選択肢の確認
1.うつ病
判定:適切とはいえない。
うつ病では、抑うつ気分、興味や喜びの低下、意欲低下、睡眠障害、食欲変化などが中心になります。高齢者では仮性認知症のように物忘れを訴えることもありますが、本事例の一点を見つめる、呼びかけに答えない、口をもぐもぐさせる、発作後に覚えていないという所見は、うつ病よりてんかんを示唆します。
2.せん妄
判定:適切とはいえない。
せん妄は、急性に発症する注意障害や意識障害で、日内変動を伴うことが多い状態です。感染、薬剤、身体疾患などが背景にあることもあります。本事例では、短時間の発作性エピソード、自動症、発作後の健忘が目立つため、てんかんが最も適切です。
3.てんかん
判定:最も適切。
一点を見つめて反応しない、口をもぐもぐさせる、ぼんやりする、出来事を覚えていないといった所見は、焦点性発作でみられる意識障害や自動症として理解できます。本事例の病態として最も適切です。
4.Lewy 小体型認知症
判定:適切とはいえない。
Lewy 小体型認知症では、認知機能の変動、具体的な幻視、パーキンソニズム、レム睡眠行動障害などが特徴です。本事例では、幻視やパーキンソニズムよりも、発作性の意識障害と自動症が中心です。
5.Alzheimer 型認知症
判定:適切とはいえない。
Alzheimer 型認知症では、近時記憶障害を中心に徐々に進行する認知機能低下がみられます。本事例には道順や料理の手順の困難がありますが、仕事は継続できており、発作性の意識障害や自動症が目立つため、てんかんがより適切です。
覚えるポイント
- 高齢者の物忘れでは、認知症以外にてんかんも鑑別します。
- てんかんでは、意識障害、自動症、発作後もうろう、健忘が手がかりになります。
- 「口をもぐもぐさせる」は、焦点性発作の自動症として出題されやすい所見です。