35Q63|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
Fさん(87 歳,女性)は,介護老人福祉施設に入所している。嚥下機能が低下したため,胃ろうによる経管栄養が行われている。担当の介護福祉士は,Fさんの経管栄養を開始して,しばらく観察した。その後,15 分後に訪室すると,Fさんが嘔吐して,意識はあるが苦しそうな表情をしていた。介護福祉士は,すぐに経管栄養を中止して看護職員を呼んだ。看護職員が来るまでの介護福祉士の対応として,最も優先すべきものを 1 つ選びなさい。
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正解: 5
正答
5.誤嚥を防ぐために顔を横に向けた。
この問題のポイント
経管栄養中に嘔吐した場合は、栄養剤や嘔吐物が気道に入ることを防ぎ、呼吸を守る対応を最優先します。換気や後片付けより先に、顔を横へ向けて嘔吐物が口外へ流れやすくします。
この問題では、急変時の優先順位である「注入の中止、気道の保護、状態観察、医療職への報告」を判断します。
解説
Fさんは経管栄養中に嘔吐し、意識はあるものの苦しそうな表情をしています。介護福祉士は、すでに栄養剤の注入を中止し、看護職員を呼んでいます。看護職員が来るまでに最も優先するのは、嘔吐物の誤嚥や窒息を防ぐことです。
仰向けのままでは、嘔吐物が咽頭から気管へ流れ込みやすくなります。顔を横に向け、可能であれば身体も横向きにして、嘔吐物が口外へ流れやすい姿勢をとります。口の中に見える嘔吐物がある場合は、安全に除去しながら、呼吸、顔色、意識、咳、むせ、呼吸音などを観察します。
経管栄養中の嘔吐には、注入速度が速い、注入量が多い、体位が不適切、腹部が圧迫されている、胃腸の動きが低下している、感染症などで体調が変化しているといった原因が考えられます。原因の判断や栄養剤の再開は、介護福祉士が独断で行わず、看護職員や医師の指示を受けます。
酸素吸入は、必要性を評価し、定められた指示や緊急時の手順に基づいて行うものです。嘔吐したという事実だけで介護福祉士が独断で開始する対応ではありません。心臓マッサージは、反応がなく、正常な呼吸がないなど、心停止が疑われるときに行います。この事例ではFさんに意識があるため適応ではありません。
介護実践でのポイント
経管栄養中に嘔吐、呼吸苦、顔色不良、意識の変化などがあれば、直ちに注入を止めます。顔を横に向けて気道を守り、呼吸状態を観察し、速やかに看護職員へ報告します。
選択肢の確認
1.室内の換気を行った。
適切ではありません。
換気は臭気への対応にはなりますが、誤嚥や窒息を防ぐ緊急対応ではありません。まずFさんの気道と呼吸を守ります。
2.ベッド上の嘔吐物を片付けた。
適切ではありません。
環境の片付けより本人の安全確保が優先です。顔を横に向け、嘔吐物が気道へ入らないようにして呼吸状態を観察します。
3.酸素吸入を行った。
適切ではありません。
酸素吸入は、必要性の評価と医師等の指示、定められた手順に基づいて行います。この場面で介護福祉士が独断で行う最初の対応ではありません。
4.心臓マッサージを行った。
適切ではありません。
Fさんには意識があります。心臓マッサージは、反応がなく正常な呼吸がないなど、心停止が疑われる場合に行います。
5.誤嚥を防ぐために顔を横に向けた。
正答。最も優先すべき対応です。
顔を横に向けると、嘔吐物が口外へ流れやすくなり、気管への流入を防ぎやすくなります。その後も呼吸、顔色、意識などを観察します。
覚えるポイント
経管栄養中の嘔吐では、まず注入を中止します。
顔を横に向けて、嘔吐物の誤嚥を防ぎます。
本人の安全確保は、換気や片付けより優先します。
呼吸・顔色・意識を観察し、看護職員や医師の指示を受けます。