61AM019第61回 作業療法士国家試験 過去問

72 歳の女性。元来多趣味で、特にパッチワークの小物作りに熱心であった。半 年ほど前から物忘れがひどくなり、日常生活に支障をきたすようになった。最近 は、食事もせずに抑うつ的な行動が多くなったため、精神科で入院治療を受けるこ とになった。入院時のHDS-R は17 点であった。入院3 週目より食事がとれるよ うになり作業療法が開始された。 導入時の作業療法で正しいのはどれか。2 つ選べ。

2つ選択
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正解: 2・3

正答

2・3

この問題のポイント

認知症患者の導入期作業療法では、時間管理の支援本人の得意活動の活用が最も重要。特に、認知機能の低下により記憶や注意が障害されるため、一気に説明せず段階的に、かつ構造的に活動を進めなければならない。

解説

72歳の女性はHDS-R 17点(20点未満→認知症疑い)で、軽度〜中等度の認知症の可能性が高い。導入期の作業療法では、混乱を避け、安全に活動できる環境づくりが優先される。その中で、以下の対応が適切です。

まず、休憩の時間管理は作業療法士が行う(選択肢2)。認知症患者は疲労の認識や時間の把握が困難であり、自ら休憩を判断できないことが多い。作業療法士が適切なタイミングで休憩を調整することで、過度な疲労や不安を防ぎ、活動の継続を支援できる。

次に、パッチワークの小物作りを実施する(選択肢3)。患者が「熱心にしていた活動」とされており、これは長期記憶に保存されたスキルに該当する。認知症においては、手続き記憶(「どうやってやるか」)は比較的保たれやすく、本人が慣れ親しんだ活動を導入することで、認知の維持・情緒の安定・生活の意味を回復できる。これは「意味ある活動(Meaningful Activity)」の原則に沿った介入である。

他の選択肢については、記憶や注意の障害により「全工程を一度に説明」(1)は難しい。複数の作業療法士が交替(4)は、患者に不安や混乱をもたらす。活動中の交流を制限(5)は、精神的安定に寄与する社会的交流の欠如を否定するものであり、誤り。

選択肢の確認

2.休憩の時間管理は作業療法士が行う。:認知症患者の疲労感把握が困難なため、OTが時間管理を担う。
3.パッチワークの小物作りを実施する。:本人の得意活動を活用し、残存機能を活かす。
1.作業の全工程をまとめて説明する。:記憶・注意障害により理解・保持困難。段階的説明が適切。
4.複数の作業療法士が交替で担当する。:担当の不連続は不安・混乱の原因。一貫性が重要。
5.活動中の参加メンバーとの交流を制限する。:交流は精神的安定に寄与。制限は根拠なし。

覚えるポイント

公式正答は2・3。設問条件と各選択肢の違いを結び付けて覚える。

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