61AM017|第61回 作業療法士国家試験 過去問
27 歳の男性。統合失調症。大学卒業後、アルバイト経験はあるが、短期間での 離職を繰り返している。最近、主治医の指示で精神科デイケアに通所し、就労に向 けて準備を進めることになった。デイケアでは、作業に関する質問ができず、一方 的に他患に話すなどの様子が見られた。 この患者に行うプログラムで最も適切なのはどれか。
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正解: 4
正答
4.SST(社会生活技能訓練)
この問題のポイント
統合失調症の患者において、就労準備段階で「作業に関する質問ができず、一方的に他者に話す」という対人コミュニケーションの障壁が明確に見られる場合、最も適切な介入は「社会生活技能訓練(SST)」です。この症例では、コミュニケーションスキルの欠如が就労継続を阻害しており、SSTがその課題に直接的に対応できる。
解説
27歳の男性は、統合失調症を背景にアルバイト経験はあるものの離職を繰り返しており、デイケアにおいては「質問できない」「一方的に話す」といった対人相互作用の問題を示しています。これは社会的相互作用における「対人コミュニケーションスキルの欠如」として、特に「質問の仕方」「話の流れの調整」「相手の意見を聞き取る」などの社会的スキルが欠けていることになります。
こうした状況では、SST(社会生活技能訓練)が最も適切です。SSTは、ロールプレイを介して、日常的な対人場面(例:職場での質問、意見の共有、意見の確認)で必要なコミュニケーション技術を学ぶプログラムです。患者が「質問できない」という行動パターンを改善することで、就労環境での信頼関係構築や、職場での適応が進む可能性が高まります。
一方、他のプログラムは本症例の課題と関連性が薄いです。例えば、IPS(個別就労支援)は「就労を実現するための支援」を目的としており、現在の段階ではコミュニケーションの改善が先決です。NEARは認知機能(注意・記憶)の改善を目的とし、本症例の主な課題は認知的ではなく、社会的相互作用の問題です。TEACCHは自閉スペクトラム障害に特化しており、統合失調症の対象としては適応が限られます。ACTは重篤な精神障害者の地域生活支援を目的とし、デイケア段階での就労準備支援としては不適切です。
選択肢の確認
1.ACT:重篤な精神障害者向けの地域生活支援。就労準備段階では対人スキルの訓練に直接結びつかない。
2.IPS:就労を「まず実施する」支援手法。現在のコミュニケーション課題が未解決のため、時期尚早。
3.NEAR:注意・記憶の改善を目的とする。本症例の問題は対人コミュニケーションであり、認知機能障害ではない。
4.SST:対人場面での質問・話の流れ・共感の技術をロールプレイで学ぶ。本症例の課題に直接対応。
5.TEACCH:自閉スペクトラム症向けの構造化支援。統合失調症には適用されない。
このように、SSTは患者の現状に最も適したプログラムです。
覚えるポイント
公式正答は4。設問条件と各選択肢の違いを結び付けて覚える。