60AM041第60回 作業療法士国家試験 過去問

朝6 時に朝食をとり、8 時に家を出て同じコースを歩き回り、10 時にスーパー で同じ食材を購入して帰宅する行動を毎日繰り返す認知症患者で、最も考えられる のはどれか。

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正解: 3

正答

3.前頭側頭型認知症

この問題のポイント

認知症患者の行動パターンから病態を推測する際、**行動の「固定性」と「反復性」**が鍵となる。特に「毎日同じ時刻・同じコース・同じ食材」を繰り返す行動は、前頭葉・側頭葉機能の損失に由来する「常同行動(ルーティン行動)」の典型的な兆候である。

解説

この患者は、朝6時から10時まで「同じルートを歩き、同じ食材を購入」する行動を毎日繰り返している。これは「常同行動(Routine behavior)」と呼ばれる症状で、前頭側頭型認知症(特にピック病を含むタイプ)の特徴的な臨床現象である。前頭葉は行動の計画・判断・抑制に関与しており、その機能障害により、患者は行動を「ルーティン化」し、変化に敏感でない。記憶は保たれつつも、行動の「目的性」や「適応性」が失われ、時刻や場所に縛られる。

この行動は、Alzheimer型では記憶障害が主な課題であり、繰り返し行動は記憶の欠如による「再確認」に由来する。血管性認知症は脳の特定領域の損傷に応じた症状(例:視覚・言語・執行機能の障害)を示すが、常同行動は特徴的ではない。Lewy小体型では幻視やパーキンソン症状、認知変動が主な特徴で、行動の固定性は見られない。HIV関連認知症は皮質下型で、常同行動とは関連しない。

したがって、行動が極めて固定され、時刻・ルート・内容が完全に同一であるという点から、最も適切な診断は「前頭側頭型認知症」である。

選択肢の確認

1.HIV 認知症:認知症の種類として常同行動は特徴的でない。
2.血管性認知症:脳の局所的損傷による多様な症状だが、常同行動とは関連しない。
3.前頭側頭型認知症:常同行動、脱抑制、人格変化が特徴。正解。
4.Lewy 小体型認知症:幻視、パーキンソン症状、認知変動が主。常同行動は特徴的でない。
5.Alzheimer 型認知症:記憶障害が主で、行動の固定は記憶の欠如によるものとされるが、時刻・ルートの完全固定は前頭側頭型に特有。

覚えるポイント

時刻・ルート・行動が完全に固定されている」=「前頭側頭型認知症(特にピック病)」
→ 作業療法では、その行動の「目的性の欠如」や「環境への適応困難」を評価し、生活環境の安定化・行動の支援を介入に含める。

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