59PM020|第59回 作業療法士国家試験 過去問
34 歳の女性。統合失調症。大学卒業後に就職したが、すぐに退職し、精神科デ イケアに通所しながら就労移行支援事業所を利用することになった。IPS による就 労移行支援を2 年間利用後にケーキ屋に就職した。しかし注意・集中力の低下によ り、商品名を覚えるのが困難で1 年で退職し、精神科デイケアの作業療法士に「一 般就労をしたい」と相談した。 患者への提案で最も適切なのはどれか。
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正解: 5
正答
5.認知機能の改善を目指したプログラムへの参加を勧める
この問題のポイント
統合失調症の患者において、就労の困難が「注意・集中力の低下」によって引き起こされている場合、その根本原因は認知機能障害(特に注意・集中の低下)であると判断される。この場合、単に就労環境の変更や退職の継続を提案するのではなく、認知機能の改善に焦点を当てた介入が最も適切である。
解説
本症例では、患者が「一般就労をしたい」と明確に希望しており、その意欲は確認されている。退職の主因が「商品名を覚えるのが困難」という認知的課題であるため、その障害を改善するプログラム(例:NEAR、CRT)への参加が最も効果的である。統合失調症に伴う認知機能障害は、就労継続の大きな壁となるが、認知リハビリテーションは科学的根拠に基づき、注意・集中・記憶などの高次脳機能を改善するための標準的な介入である。
作業療法の観点から、患者の生活習慣や環境を変えるのではなく、認知機能の具体的な改善を目指すことで、再就労の可能性を高めることができる。また、IPS(Individual Placement and Support:個別就労支援モデル)の考え方とも整合し、認知機能の改善が就労継続に直結するという実証的な根拠がある。
選択肢の確認
1.就労定着支援の利用を勧める。:就労後における職場での継続支援であり、退職後の段階では適応しない。
2.休息を目的とした入院を勧める。:本人が一般就労を希望しており、入院の必要性は認められない。
3.一般就労をあきらめるように伝える。:本人の意欲を否定する発言は、リカバリー支援の原則に反する。
4.就労継続支援A 型事業所を紹介する。:一般就労が困難な方を対象とした支援で、患者の「一般就労をしたい」という希望に即していない。
5.認知機能の改善を目指したプログラムへの参加を勧める。:退職の原因が認知機能障害であるため、最も適切な介入。
覚えるポイント
「注意・集中力の低下」が就労障害の原因なら、認知機能の改善プログラム(NEAR、CRTなど)への参加を提案することが、患者の生活質の向上と再就労の可能性を高める最適なアプローチである。