117B41第117回 医師国家試験 過去問

社会医学・医療システム臨床研究・EBM診断特性・検査

28歳の男性。昨日から臍部を中心とした腹痛、悪心と食欲不振。その後痛みが右下腹部に移動して悪化。診察では右下腹部に圧痛はあるが、反跳痛はなく、体温37.0℃、白血球10,200(好中球85%)CRP 2.6mg/dL。急性虫垂炎の診断スコア(最大10点)は以下の項目: - 腹痛部位の移動:1点 - 食欲不振:1点 - 悪心・嘔吐:1点 - 右下腹部圧痛:2点 - 反跳痛:1点 - 発熱(≧37.3℃):1点 - 末梢血白血球数≧10,000:2点 - 好中球≧75%:1点 合計点が0~4点:陽性尤度比1.0、5~6点:1.6、7点以上:3.0。若年男性の急性腹痛における急性虫垂炎の有病率が50%の場合、この患者の急性虫垂炎確率はどれか。

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正解: d

正解

d 0.75

解説

この問題は、虫垂炎スコアから陽性尤度比を選び、事前確率から事後確率を求める問題である。

まずスコアを合計する

この患者で該当する項目は次のとおりである。

  • 腹痛部位の移動:1点
  • 食欲不振:1点
  • 悪心・嘔吐:1点
  • 右下腹部圧痛:2点
  • 反跳痛:0点
  • 発熱:0点
  • 白血球数≧10,000:2点
  • 好中球≧75%:1点

したがって、合計8点となる。

次に陽性尤度比を選ぶ

問題文より、

  • 0~4点:陽性尤度比 1.0
  • 5~6点:陽性尤度比 1.6
  • 7点以上:陽性尤度比 3.0

この患者は8点なので、使うのは陽性尤度比 3.0である。

事前確率から事後確率を計算する

事前確率は 0.5 である。

1. 事前オッズ

0.5 ÷ (1 − 0.5) = 1

2. 事後オッズ

1 × 3.0 = 3

3. 事後確率

3 ÷ (1 + 3) = 0.75

したがって、急性虫垂炎の確率は0.75である。

各選択肢の考え方

  • a 0.41
    誤りである。尤度比の使い方を誤っている。

  • b 0.5
    誤りである。これは事前確率のままで、検査情報を反映していない。

  • c 0.62
    誤りである。よくある計算ミスで出やすい値である。

  • d 0.75
    正しい。事前確率50%、陽性尤度比3.0から正しく計算した値である。

  • e 0.9
    誤りである。陽性尤度比3.0ではここまで高くならない。

ひっかけポイント

この種の問題で多い誤りは、尤度比を確率に直接かけてしまうことである。
正しくは、

  • 確率
  • オッズ
  • 尤度比
  • 事後オッズ
  • 事後確率

の順に計算する。

覚えるポイント

確率には直接尤度比をかけない。いったんオッズに変換する。

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