115F64第115回 医師国家試験 過去問

総合診療・救急・ケア総合診療身体診察・診断推論

検査の結果を確認すると「動脈血ガス分析(room air):pH 7.38、PaCO2 45Torr、PaO2 30Torr、HCO3- 26mEq/L」とあった。患者の呼吸数やSpO2(room air)は来院時と変化はない。採血時の状況を確認すると、シリンジヘの逆流が弱く陰圧をかけながら採取したとのことであった。 適切な対応はどれか。

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正解: e

正解

e 動脈血を採取しなおして分析する。

解説

この血液ガス結果は、臨床所見と明らかに矛盾しています。
したがって、まず行うべきなのは動脈血を採取しなおして再検することです。

なぜ再採血が必要か

もし本当に PaO₂ 30Torr であれば、重度の低酸素血症であり、通常はSpO₂も著しく低下しているはずです。
しかし、この患者では

  • 呼吸数に大きな変化がない
  • SpO₂も来院時と変わらない
  • 全身状態も、PaO₂ 30Torrに見合うほど破綻していない

という点から、検体自体の問題をまず疑います。

採血手技から分かること

問題文の

  • シリンジへの逆流が弱い
  • 陰圧をかけながら採取した

という記載が重要です。

動脈血であれば、血圧があるため、針が正しく動脈内に入れば自然に拍動性の逆流が得られます。
一方、静脈血では圧が低いため、シリンジを引いて陰圧をかけながら採ることになります。

つまり、この検体は動脈血ではなく静脈血を誤採取した可能性が高いです。

何が矛盾しているのか

静脈血の酸素分圧は、動脈血より低くなります。
そのため、PaO₂ 30Torr という値は、患者の実際の酸素化ではなく、誤って採れた静脈血を反映していると考えるのが自然です。

各選択肢の整理

  • a 深呼吸を促す。
    誤りです。まず必要なのは正しいデータの確認です。

  • b 酸素投与を開始する。
    誤りです。検査値だけで重度低酸素血症と判断せず、まず検体エラーを疑います。

  • c Dダイマーを測定する。
    誤りです。肺血栓塞栓症の精査より先に、血液ガスの信頼性を確認すべきです。

  • d 心エコー検査を実施する。
    誤りです。循環動態評価が必要な場面はありますが、まずは誤採血の修正が優先されます。

  • e 動脈血を採取しなおして分析する。
    正しいです。最優先の対応です。

ひっかけポイント

検査値が異常だと、そのまま病態を考えたくなります。
しかし国試では、検査値と臨床像が食い違うときは、まず検体や測定の妥当性を疑うことが重要です。

覚えるポイント

  • 動脈血は通常、陰圧をかけなくても逆流する
  • PaO₂とSpO₂が著しく矛盾するときは誤採血を考える
  • 不自然なデータに飛びつかず、まず再検

国試では、数字そのものよりも、臨床と検査の整合性をみる姿勢が問われます。

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