118C071第118回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科矯正学

22 歳の女性。上顎前歯の突出感を主訴として来院した。診断の結果、上下顎両 側第一小臼歯の抜去後、マルチブラケット装置と歯科矯正用アンカースクリューを 併用した矯正歯科治療を行うこととした。初診時の顔面写真(別冊No. 30A)、口腔 内写真(別冊No. 30B)及びエックス線画像(別冊No. 30C)を別に示す。セファロ分 析の結果を図に示す。 治療後に予想される変化はどれか。3 つ選べ。

118C071の問題画像
3つ選択
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正解: a・d・e

正答

a、d、e

この問題のポイント

上下顎第一小臼歯抜去後に前歯を後退させる治療では、切歯歯軸と軟組織側貌に生じる変化を予測します。

解説

歯科矯正用アンカースクリューを固定源として上下顎前歯を十分に後退させると、下顎中切歯は舌側傾斜し、FMIAは増加します。上下顎切歯が互いに直立する方向へ動くため、**上下顎中切歯歯軸傾斜角〈interincisal angle〉**も増加します。

上顎前歯の後退に伴って上唇が後退し、鼻柱と上唇が作る鼻唇角は増加する傾向があります。一方、SNB角や顔面角は主に下顎骨の骨格的位置を表し、成人の歯の移動だけで大きく減少する項目ではありません。

セファロ分析のポイント
抜歯による前歯後退では、歯性計測値と軟組織側貌は変化しますが、顎骨の前後的位置を示す骨格性角度は基本的に大きく変わりません。

画像の確認

実画像では上下口唇の突出と上下前歯の唇側傾斜があり、セファロ分析でも切歯歯軸の突出が強く示されている。上下第一小臼歯抜去後にアンカースクリューを固定源として前歯を後退させると、FMIA、鼻唇角、上下顎中切歯歯軸傾斜角が増加するためa、d、eに対応する。

選択肢の確認

a.FMIA の増加
正しい。下顎中切歯が舌側へ傾斜・後退すると、Frankfort平面と下顎中切歯歯軸が作るFMIAは増加します。

b.SNB 角の減少
誤り。SNB角は下顎骨の前後的位置を示し、成人の前歯後退だけで下顎骨自体が後方移動して減少するわけではありません。

c.顔面角の減少
誤り。顔面角は下顎骨の前後的位置を反映し、歯の移動のみで減少することは予想されません。

d.鼻唇角の増加
正しい。上顎前歯と上唇が後退すると、鼻柱と上唇が作る鼻唇角は増加する傾向があります。

e.上下顎中切歯歯軸傾斜角の増加
正しい。上下顎前歯が舌側へ傾斜して互いに直立する方向へ移動するため、上下顎中切歯歯軸傾斜角は増加します。

覚えるポイント

  • 下顎前歯の舌側傾斜でFMIAは増加します。
  • 上下顎前歯の直立化で切歯歯軸傾斜角は増加します。
  • 上顎前歯・上唇の後退で鼻唇角は増加します。

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