117B050第117回 歯科医師国家試験 過去問

全身管理医学・全身疾患

75 歳の男性。食事時のむせを主訴として来院した。3 年前に脳梗塞の診断を受 けたが、認知機能の低下や四肢麻痺はなく、現在は積極的なリハビリテーションを 行っていないという。食事形態はミキサー食で水分にはとろみをつけておらず、20 分程度で全量食べているとのことであった。初診時に行った改訂水飲みテストでむ せを認めたが、嚥下時の喉頭挙上量は十分であった。嚥下造影検査の画像(別冊 No. 15)を別に示す。 推奨されるのはどれか。3 つ選べ。

117B050の問題画像
3つ選択
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正解: b・d・e

正答

b、d、e

この問題のポイント

嚥下リハビリテーションでは、どの機能が保たれ、どこで誤嚥が起きているかに合わせて訓練と食形態を選びます。

解説

本症例では嚥下時の喉頭挙上量は十分であるため、舌骨上筋群を強化して喉頭挙上を改善する頭部挙上訓練の優先度は低いと考えます。

水分にとろみを付けると流速が遅くなり、咽頭での制御がしやすくなります。息こらえ嚥下は嚥下前から声門を閉鎖し、嚥下後に咳払いすることで気道防御を高めます。プッシング訓練は発声・声門閉鎖や咽頭圧の改善を目的として用いられます。

画像の確認

実画像では、薄い液体嚥下後の側面造影像で造影剤が喉頭前方の気道側へ流入している一方、とろみ付き液体後ではその流入が軽減している。喉頭挙上は保たれているため、流速を落とすとろみ付与と声門閉鎖を高めるプッシング訓練・息こらえ嚥下を選ぶ正答b・d・eにつながる。

選択肢の確認

a.頭部挙上訓練
誤り。
頭部挙上訓練は舌骨上筋群を強化し喉頭挙上や食道入口部開大を改善しますが、本症例では喉頭挙上量が十分です。

b.プッシング訓練
正しい。
プッシング訓練により声門閉鎖や嚥下関連筋の出力を高め、気道防御の改善を図ります。

c.アイスマッサージ
誤り。
アイスマッサージは嚥下反射惹起の遅延に対する感覚刺激として用いますが、本症例で選択すべき中心的対応ではありません。

d.水分のとろみ付与
正しい。
水分にとろみを付けて流速を遅くし、咽頭内での食塊制御と気道防御を容易にします。

e.息こらえ嚥下の指導
正しい。
息こらえ嚥下により嚥下前から声門を閉鎖し、誤嚥を予防します。

覚えるポイント

  • 喉頭挙上が十分なら頭部挙上訓練の優先度は低い。
  • とろみは水分の流速を遅くする。
  • 息こらえ嚥下は声門閉鎖を利用して気道を守る。

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