116B068|第116回 歯科医師国家試験 過去問
7 歳の女児。前歯で物が咬み切れないことを主訴として来院した。下顎後退位で 切端咬合はとれない。診断をした結果、矯正歯科治療を行うこととした。初診時の 顔面写真(別冊No. 26A)、口腔内写真(別冊No. 26B)及びエックス線画像(別冊 No. 26C)を別に示す。セファロ分析の結果を図に示す。 適切な矯正装置はどれか。2 つ選べ。

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正解: c・e
正答
c、e
この問題のポイント
下顎後退位でも切端咬合にならない反対咬合は、機能性ではなく骨格性Ⅲ級として成長コントロールを考えます。
解説
7歳で、下顎を後退させても切端咬合が得られないため、単純な前歯干渉による機能性反対咬合ではなく骨格性下顎前突が考えられます。成長期には下顎骨の前方成長を抑制・方向づけるチンキャップと、上顎歯列を前方へ誘導しながら被蓋を改善するスライディングプレートが適します。
画像の確認
実画像では、側貌で下顎前方位を思わせる輪郭があり、口腔内写真では乳歯列から混合歯列期の前歯部が広く反対被蓋を示している。パノラマ像に永久歯胚が並ぶ成長期で、セファロ図でも上下顎の前後的不調和が示されているため、歯だけを動かす装置ではなくチンキャップとスライディングプレートによる成長期の骨格・顎位誘導を選ぶ。
選択肢の確認
a.咬合斜面板
誤り。
咬合斜面板は前歯部の歯性・機能性反対咬合で用いますが、下顎後退位でも切端咬合が得られない骨格性症例には単独で不十分です。
b.舌側弧線装置
誤り。
舌側弧線装置は保隙や歯の限局移動に用い、骨格性Ⅲ級の成長コントロール装置ではありません。
c.チンキャップ
正しい。
チンキャップは下顎に後上方の力を加え、成長期の骨格性下顎前突で下顎成長方向の改善を図ります。
d.リップバンパー
誤り。
リップバンパーは口唇・頰圧を排除して下顎歯列弓拡大や大臼歯遠心移動に用い、本症例の主目的と異なります。
e.スライディングプレート
正しい。
スライディングプレートは上下顎の滑走面を利用して下顎位と前歯被蓋を誘導し、成長期の反対咬合改善に用います。
覚えるポイント
- 後退位でも切端咬合不可なら骨格性Ⅲ級を考える。
- チンキャップは下顎成長方向をコントロールする。
- 機能性反対咬合と骨格性反対咬合を鑑別する。