115A058|第115回 歯科医師国家試験 過去問
23 歳の女性。顔のゆがみを主訴として来院した。診断をした結果、外科的矯正 治療を行うこととした。初診時の顔面写真 (別冊No. 19A 、口腔内写真 (別冊No. 19B 及びエックス線画像 (別冊No. 19C を別に示す。セファロ分析の結果を図に示す。 (セファロ分析図は問題画像参照) 術前矯正治療で行うのはどれか。 2つ選べ。

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正解: a・e
正答
a、e
この問題のポイント
外科的矯正治療の術前矯正では、手術後に上下の歯列が適切に咬合できるよう、歯性補償を除去し、各歯列を整列・調和させることが目的です。
解説
顎変形症では、骨格的な上下顎のずれを補うように前歯が傾斜したり、歯列弓の幅や形態が変化したりすることがあります。この歯性補償を残したまま手術すると、顎骨を予定位置へ移動しても良好な咬合を得られません。
術前矯正では、叢生を改善して歯を各顎骨の基底骨上へ適切に配列し、歯軸を整えます。また、手術後に上下顎歯列が無理なくかみ合うよう、上下顎の歯列弓形態と幅径の不調和を改善します。
一方、骨格性の交叉咬合、上下顎間の正中偏位、Angleの大臼歯関係などは、顎骨の位置異常に起因する場合、術前矯正だけで最終的に一致させるものではありません。手術による顎骨移動と術後矯正を含めて完成させます。
ひっかけポイント
術前矯正では、見かけ上の咬合が一時的に悪化することがあります。これは歯性補償を取り除き、骨格的不調和を手術で正しく改善するためです。
画像の確認
実画像では、顔貌にオトガイ部・下顔面の左右差があり、口腔内では叢生、歯列弓の不調和および非対称な咬合関係がみられる。パノラマ像と頭部エックス線規格写真でも歯軸や歯列の補償状態を評価できる。顎矯正手術前に叢生を解消し上下歯列弓を調和させるというa、eの正答を支える。
選択肢の確認
a.叢生の改善
正しい。
歯を基底骨上へ整列し、手術後に安定した咬合を得るため、術前矯正で叢生を改善します。
b.臼歯部交叉咬合の改善
誤り。
骨格性の臼歯部交叉咬合を歯の傾斜だけで術前に解消すると、必要な骨格的修正を妨げることがあります。最終的な改善は手術による顎骨移動を含めて行います。
c.上下顎歯列正中線の一致
誤り。
顎骨の左右偏位がある症例では、上下顎間の正中一致は主に手術による顎骨位置の修正で得ます。術前には各歯列内の歯の配列と歯性補償の除去を優先します。
d.AngleⅠ級の大臼歯関係の確立
誤り。
大臼歯関係は上下顎骨の前後的位置に強く影響されます。術前矯正だけで最終的なAngleⅠ級を完成させるのではなく、手術と術後矯正を含めて調整します。
e.上下顎歯列弓形態の不調和の改善
正しい。
手術後に上下顎歯列が適切に嵌合するよう、歯列弓の形態や幅径を術前に調和させます。
覚えるポイント
- 術前矯正の中心は叢生改善、歯軸のデコンペンセーション、歯列弓の調和です。
- 骨格性の正中偏位や前後的位置関係は、主に外科手術で修正します。
- 術前に咬合が一時的に悪化しても、手術後の適切な咬合形成のために必要な場合があります。