39AM79|第39回 臨床工学技士国家試験 過去問
腹膜透析について誤っているのはどれか。 a.血液透析と併用可能である。 b.循環動態への影響が少ない。 c.バスキュラーアクセスが必要である。 d.透析液にはカリウムイオンが含まれる。 e.ブドウ糖透析液では除水量が最大となる透析時間が存在する。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
この問題では、腹膜透析の特徴について、誤っている小項目の組合せを選びます。
腹膜透析は、腹腔内に透析液を注入し、患者自身の腹膜を半透膜として利用する血液浄化療法です。
重要な特徴は次のとおりです。
- 血液透析との併用が可能である
- 血液透析に比べて循環動態への影響が少ない
- バスキュラーアクセスは不要である
- 腹膜透析液は通常、カリウムを含まない
- ブドウ糖透析液では、除水量が最大となる貯留時間が存在する
したがって、誤っている小項目は c、d であり、選択肢では4が正答です。
解説
腹膜透析では、腹腔内に留置した腹膜透析カテーテルから透析液を注入します。
血液中の尿毒素や電解質、水分は、腹膜を介して透析液側へ移動します。
血液透析のように、血液を体外へ取り出してダイアライザへ送る治療ではないため、バスキュラーアクセスは不要です。必要なのは血管アクセスではなく、腹膜透析カテーテルです。
また、腹膜透析は比較的ゆっくり持続的に除水や溶質除去を行うため、血液透析に比べると急激な血圧変動が起こりにくく、循環動態への影響が少ないとされます。
腹膜透析液には、浸透圧物質としてブドウ糖が含まれることがあります。ブドウ糖濃度により浸透圧差が生じ、血液側から透析液側へ水分が移動します。
ただし、時間が経つとブドウ糖が体内へ吸収され、浸透圧差が小さくなります。そのため、ブドウ糖透析液では除水量がある時間で最大となり、その後は除水効率が低下したり、再吸収が起こったりします。
ひっかけポイント
腹膜透析では「透析」と名前がついていても、血液透析のようなバスキュラーアクセスは使いません。使うのは腹膜透析カテーテルです。
血液浄化療法での注意点
腹膜透析では、腹膜炎、出口部感染、トンネル感染、排液混濁、除水不良、腹膜機能低下、体液過剰、血糖管理などを確認します。排液の性状とバッグ交換時の清潔操作は、患者教育でも重要です。
小項目の確認
a.記述としては正しい。
腹膜透析は血液透析と併用できます。腹膜透析だけでは透析量や除水が不足する場合、血液透析を組み合わせる方法が行われることがあります。
b.記述としては正しい。
腹膜透析は、持続的または緩徐に水分や溶質を除去するため、血液透析に比べて急激な血圧変動が少なく、循環動態への影響が少ないとされます。
c.記述としては誤り。
腹膜透析では、血液を体外へ取り出すためのバスキュラーアクセスは必要ありません。必要なのは、腹腔内へ透析液を出し入れするための腹膜透析カテーテルです。
d.記述としては誤り。
腹膜透析液には、通常、カリウムイオンは含まれません。腎不全患者では高カリウム血症を起こしやすいため、カリウムを除去する方向に働くように設計されています。
e.記述としては正しい。
ブドウ糖透析液では、ブドウ糖による浸透圧差で除水が起こります。しかし時間経過とともにブドウ糖が吸収され、浸透圧差が低下するため、除水量が最大となる透析時間が存在します。
選択肢の確認
1.誤り。
選択肢1は a、b の組合せです。a、bはいずれも記述として正しいため、誤っている小項目の組合せではありません。
2.誤り。
選択肢2は a、e の組合せです。a、eはいずれも記述として正しいため、不適切です。
3.誤り。
選択肢3は b、c の組合せです。cは記述として誤りですが、bは記述として正しいため、誤っている小項目の組合せとしては不十分です。
4.正答。誤っている小項目の組合せです。
選択肢4は c、d の組合せです。腹膜透析ではバスキュラーアクセスは不要であり、透析液には通常カリウムイオンは含まれません。したがって、c、dはいずれも記述として誤りです。
5.誤り。
選択肢5は d、e の組合せです。dは記述として誤りですが、eは記述として正しいため、不適切です。
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、誤っている小項目である c、d を含む4が正答です。
覚えるポイント
- 腹膜透析は、腹膜を半透膜として利用する血液浄化療法である。
- 腹膜透析では、血液透析と異なりバスキュラーアクセスは不要である。
- 腹膜透析に必要なのは、腹腔内に留置する腹膜透析カテーテルである。
- 腹膜透析は、血液透析より循環動態への影響が少ない。
- 腹膜透析液には、通常、カリウムイオンは含まれない。
- ブドウ糖透析液では、浸透圧差の変化により、除水量が最大となる貯留時間が存在する。