38Q95第38回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ障害の理解

次のうち、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)によくみられる症状として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 3

正答

3

この問題のポイント

筋萎縮性側索硬化症(ALS)で障害されやすい機能と、比較的保たれやすい機能を区別する問題です。

ALSは、身体を動かす命令を伝える運動ニューロンが進行性に障害される疾患です。四肢の筋力低下や筋萎縮だけでなく、舌や咽頭の筋肉が障害されることで、構音障害や嚥下障害が生じます。

解説

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが選択的かつ進行性に変性する神経難病です。運動ニューロンから筋肉へ十分な指令が届かなくなるため、筋力低下、筋萎縮、筋肉のぴくつきである線維束性収縮、筋緊張の亢進などが現れます。

障害が舌、咽頭、喉頭などに及ぶと、言葉を明瞭に話せない構音障害や、食べ物や水分を安全に飲み込みにくくなる嚥下障害が生じます。嚥下機能が低下すると、むせ、誤嚥、誤嚥性肺炎、脱水、低栄養などの危険が高まるため、食事中の咳、湿った声、食事時間の延長、体重減少などを継続して観察します。

さらに進行すると呼吸筋も弱くなり、息切れ、痰を出しにくい、呼吸が浅いなどの症状がみられます。本人の意思を尊重しながら、医師、看護職、リハビリテーション専門職、管理栄養士などと連携し、食形態、姿勢、コミュニケーション手段、呼吸管理を早い段階から検討します。

ALSでは運動機能が中心に障害され、一般に身体の感覚、視力や眼球運動、膀胱・直腸機能は比較的保たれます。ただし、すべての人に同じ経過が現れるとは限らず、併存疾患や二次的な影響による症状もあるため、個別の観察が必要です。

選択肢の確認

1.感覚障害

誤りです。 ALSで主に障害されるのは運動ニューロンです。触覚や痛覚などの感覚は一般に保たれ、感覚の低下やしびれは代表的な症状ではありません。

2.失禁

誤りです。 排尿・排便を調節する機能は一般に比較的保たれ、膀胱直腸障害はALSの典型的な症状ではありません。失禁がみられる場合は、別の疾患や移動能力の低下なども含めて原因を考えます。

3.嚥下障害{えんげしょうがい}

正しいです。 舌や咽頭などの筋肉を支配する運動ニューロンが障害されると、食べ物や水分を飲み込みにくくなります。構音障害とともに、球麻痺症状としてよくみられます。

4.視力障害

誤りです。 視力や眼球運動は一般に比較的保たれ、視力低下はALSそのものの代表的な症状ではありません。視力の変化があれば、眼疾患など別の原因も考えます。

5.便秘

誤りです。 便秘はALSに特有の中核症状ではありません。ただし、活動量の低下、水分・食事摂取量の減少、腹筋の筋力低下、薬の影響などによって二次的に生じることはあります。

覚えるポイント

  • ALSは、上位・下位運動ニューロンが進行性に障害される疾患。
  • 主な症状は、筋力低下、筋萎縮、線維束性収縮、構音障害、嚥下障害、呼吸障害。
  • 感覚、視力・眼球運動、膀胱・直腸機能は一般に比較的保たれる。
  • むせ、湿った声、食事時間の延長、体重減少は、嚥下機能低下の重要な観察点。
  • 症状の現れ方や進行速度には個人差があり、残存機能と本人の意思を尊重する。

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