36Q75|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
利用者の家族との信頼関係の構築を目的としたコミュニケーションとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 3
正答
3.家族から介護の体験を共感的に聴く。
この問題のポイント
家族との信頼関係を築く出発点は、専門職がすぐに指導や提案をすることではなく、家族が経験してきたことや、そのときの思いを、評価や否定をせずに共感的に聴くことです。
解説
共感的に聴くとは、話の内容だけを情報として集めるのではなく、相手の立場に立ち、その体験に伴う感情や意味を理解しようとして聴くことです。家族の話を途中で遮らず、うなずきや相づちを用い、必要に応じて「大変な思いをされてきたのですね」などと気持ちを言葉にして返します。
家族は介護の協力者であると同時に、自らも生活、仕事、健康、感情をもつ支援の対象です。これまでの介護体験を共感的に聴くことで、家族は「自分のことも理解しようとしてくれている」と感じやすくなり、安心して本音や困りごとを話せるようになります。これが信頼関係の基盤になります。
介護技術の指導、当事者の会の紹介、介護保険制度の説明なども、家族のニーズに合えば有用です。しかし、家族の状況や希望を聴かずに一方的に行うと、負担感や不信感を生むことがあります。まず共感的に聴き、その後に必要な情報や支援を本人・家族と相談して選びます。
ひっかけポイント
選択肢1・2・5は、内容そのものが常に不適切なのではありません。しかし、いずれも専門職から家族への指導、提案、説明です。「信頼関係の構築を目的としたコミュニケーション」として最も直接的なのは、家族の体験を共感的に聴くことです。
介護実践でのポイント
家族の話を聴くときは、「こうするべきです」とすぐに解決策を示さず、まず体験と気持ちを確認します。家族の努力を当然視せず、疲労、睡眠、仕事、経済面、介護を続けることへの迷いも話せる雰囲気をつくります。情報提供やサービスの提案は、話を十分に聴いた後で、希望を確かめながら行います。
選択肢の確認
1.家族に介護技術を教える。
誤りです。
介護技術の指導が役立つ場合はありますが、家族の体験や希望を聴かずに一方的に教えることは、信頼関係を築くための第一の対応ではありません。
2.家族に介護をしている当事者の会に参加することを提案する。
誤りです。
当事者の会は孤立感の軽減や情報交換に役立つことがありますが、家族が何に困り、何を望んでいるかを聴いたうえで提案する必要があります。
3.家族から介護の体験を共感的に聴く。
正しいです。
家族の立場に立ち、介護体験とそれに伴う感情を理解しようとして聴くことは、家族が安心して話せる関係をつくり、信頼関係の構築につながります。
4.家族に介護を続ける強い気持ちがあるかを質問する。
誤りです。
介護を続ける意思の強さを問う表現は、家族を評価したり、介護を続ける責任を迫ったりするものとして受け取られるおそれがあります。介護に対する思いや負担を、決めつけずに聴くことが必要です。
5.家族に介護保険が使える範囲を説明する。
誤りです。
制度説明は必要な支援ですが、専門職からの一方向の情報提供です。信頼関係の構築には、先に家族の体験やニーズを共感的に聴くことが重要です。
覚えるポイント
- 信頼関係の基盤は、受容、共感、傾聴である。
- 共感的傾聴では、相手の立場から体験と感情を理解しようとする。
- 家族を介護の担い手としてだけでなく、一人の生活者、支援対象として捉える。
- 指導や提案、制度説明は、家族の体験と希望を聴いてから行う。
- 介護を続けることを家族の義務として迫らない。