36Q54第36回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ障害の理解

Cさん(55歳、男性)は、5年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と診断された。現在は症状が進行して、日常生活動作に介護が必要で、自宅では電動車いすと特殊寝台を使用している。 次の記述のうち、Cさんの現在の状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 3

正答

3.身体の痛みがわかる。

この問題のポイント

筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、運動ニューロンが障害され、手足、発声・嚥下、呼吸などに関わる筋力が低下します。

一方、触覚や痛覚などの感覚は一般に保たれるため、身体の痛みを感じることができます。

解説

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脳や脊髄にある運動ニューロンが進行性に障害される病気です。運動ニューロンは筋肉を動かす命令を伝えるため、その障害により、筋力低下、筋萎縮、筋肉のぴくつき、筋肉のこわばりなどが現れます。

病気が進行すると、手足を動かすことだけでなく、話すこと、飲み込むこと、痰を出すこと、呼吸することにも支障が生じます。Cさんは日常生活動作に介護が必要で、電動車いすと特殊寝台を使用しているため、運動機能の低下が進んでいると考えられます。

しかし、ALSでは感覚神経は一般に保たれます。そのため、触れられた感覚、熱さや冷たさ、身体の痛みなどを感じることができます。身体を自力で動かしにくくても感覚がないとは限らず、同じ姿勢による痛みや不快感にも十分な配慮が必要です。

なお、ALSの症状や進み方には個人差があります。認知機能や眼球運動なども一律に「保たれる」と決めつけず、その人の状態を個別に確認することが重要です。

ひっかけポイント
ALSは「身体を動かしにくくなる病気」ですが、「感覚がなくなる病気」ではありません。運動機能の障害と感覚機能の障害を混同しないようにします。

介護実践でのポイント
本人の感覚や理解力を過小評価せず、介助前には内容を説明し、痛みや不快感を確認します。発声が難しい場合は、文字盤、意思伝達装置、視線など、本人が使いやすい方法で意思を確認します。嚥下や呼吸、痰の排出に変化があれば、速やかに医療職へ報告します。

選択肢の確認

1.誤嚥{ごえん}せずに食事することが可能である。
誤りです。
ALSが進行すると、舌や咽頭などの筋力が低下して嚥下障害が生じ、誤嚥の危険が高くなることがあります。「誤嚥せずに食事できる」とは一律にいえません。

2.明瞭に話すことができる。
誤りです。
発声や構音に関わる筋力が低下すると、ろれつが回りにくい、声が小さいなどの構音障害が現れ、明瞭に話すことが難しくなります。

3.身体の痛みがわかる。
正しいです。
ALSでは運動ニューロンが主に障害され、痛覚を含む感覚は一般に保たれます。そのため、身体の痛みを感じることができます。

4.自力で痰{たん}を排出できる。
誤りです。
呼吸筋や咳に関わる筋力が低下すると、十分に咳をして痰を出すことが難しくなります。痰の貯留や呼吸状態の変化に注意が必要です。

5.箸を上手に使える。
誤りです。
上肢や手指の筋力低下により、箸を操作するような細かな動作が難しくなることがあります。

覚えるポイント

ALSでは、運動ニューロンの障害により筋力低下と筋萎縮が進行します。

感覚は一般に保たれるため、痛みや不快感を感じます。

進行すると、構音、嚥下、咳、呼吸にも障害が生じます。

発声が難しくても、本人の理解や意思を決めつけず、適切な意思伝達手段を用います。

介助では、苦痛の確認、体位調整、誤嚥予防、排痰・呼吸状態の観察が重要です。

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