35Q77第35回 介護福祉士国家試験 過去問

介護コミュニケーション技術

Dさん(90歳、女性、要介護5)は、重度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。介護福祉職は、Dさんに声かけをして会話をしているが、最近、自発的な発語が少なくなり、会話中に視線が合わないことも増えてきたことが気になっている。 Dさんとのコミュニケーションをとるための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 3

正答

3.表情やしぐさを確認しながら、感情の理解に努める。

この問題のポイント

重度の認知症によって自発的な発語が減っても、コミュニケーションができなくなったとは限りません。表情、視線、しぐさ、姿勢、声の調子など、言葉以外の方法で示される気持ちを丁寧に読み取ることが重要です。

介護福祉職は、言葉による働きかけだけに頼らず、言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションを組み合わせて関わります。

解説

非言語的コミュニケーションには、表情、視線、身振り、姿勢、身体の緊張、声の強さや調子、相手との距離、触れ方などがあります。重度のアルツハイマー型認知症では、言葉を理解したり、自分の思いを言葉として表現したりすることが難しくなる場合がありますが、感情や快・不快が失われるわけではありません。

Dさんの発語や視線が減ったときは、表情が穏やかか険しいか、介護福祉職の声や動きに反応しているか、手を伸ばす・払いのけるなどのしぐさがあるかを確認します。ただし、一つのしぐさだけで気持ちを決めつけず、場面や前後の状況、普段の様子と合わせて理解に努めます。

また、「最近」発語が減ったという変化には、認知症の進行だけでなく、痛み、疲労、体調不良、眠気、薬の影響、聴力・視力の変化、環境から受ける刺激などが関係する可能性もあります。気づいた変化を記録し、チームで共有することも必要です。

ひっかけポイント

発語が少ないことや視線が合わないことを、「会話を望んでいない」「何も理解していない」と決めつけてはいけません。また、非言語的コミュニケーションを活用することは、言葉での声かけをすべてやめることではありません。短く分かりやすい声かけを続けながら、反応を丁寧に観察します。

介護実践でのポイント

正面から穏やかに近づき、本人の名前を呼び、一度に一つの内容を短い言葉で伝えます。返答を急がせず、反応を待つ時間を確保します。身体に触れる場合は、突然触れずに声をかけ、表情や身体の反応から受け入れられているかを確認します。嫌がる様子があれば中止し、その人に合った距離や方法を探します。

選択肢の確認

1.引き続き、言語を中心にコミュニケーションをとる。

誤りです。
言葉による声かけを続けること自体は必要ですが、発語や視線が減っているDさんに対して、言語だけを中心にするのは適切ではありません。表情やしぐさなどの非言語的な反応も活用します。

2.Dさんが緊張しているので、からだに触れないようにする。

誤りです。
問題文だけでは、Dさんが緊張しているとは判断できません。触れることが安心につながる場合もありますが、本人との関係性や反応を確認しながら個別に判断します。一律に触れないと決める対応ではありません。

3.表情やしぐさを確認しながら、感情の理解に努める。

正しいです。
発語が少なくなった場合でも、表情やしぐさなどに感情や意思が表れることがあります。言葉以外の反応を丁寧に観察し、Dさんの感情を理解しようとする対応が適切です。

4.視線が合わないときは、会話を控える。

誤りです。
視線が合わないことだけで、会話を望んでいないとは判断できません。無理に目を合わせる必要はありませんが、穏やかな声かけを続け、表情や身体の動きから反応を確認します。

5.自発的な発語がないため、会話の機会を減らしていく。

誤りです。
発語がなくても、声かけや人との関わりを感じ取っている可能性があります。会話の機会を減らすと、孤立や不安につながるおそれがあります。本人の状態に合わせて方法を工夫しながら交流を続けます。

覚えるポイント

  • コミュニケーションは、言語的手段と非言語的手段を組み合わせる。
  • 発語が少なくても、感情や意思が失われたとは限らない。
  • 一つの反応だけで本人の気持ちを決めつけない。
  • 視線が合わないことを、会話の拒否と判断しない。
  • 最近の変化では、痛みや体調、薬、感覚機能、環境の影響も確認する。

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