35Q76|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
Cさん(75 歳,男性)は,老人性難聴(presbycusis)があり,右耳は中等度難聴,左耳は高度難聴である。耳かけ型補聴器を両耳で使用して静かな場所で話せば,なんとか相手の話を聞き取ることができる。Cさんとの 1 対 1 のコミュニケーションの方法として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 1
正答
1.正面で向き合って話しかける。
この問題のポイント
老人性難聴では音声だけで言葉を聞き分けにくいことがあるため、正面から向き合い、口元、表情、視線などの視覚情報も利用できるようにします。補聴器を装用していても、聞こえ方が健聴者と同じになるとは限りません。
解説
老人性難聴は、現在では加齢性難聴とも呼ばれ、加齢に伴って徐々に進行する感音難聴です。一般に高音域から聞こえにくくなり、音の大きさだけでなく、言葉を聞き分ける力も低下することがあります。特に、周囲に雑音がある場所、早口の会話、複数の人が同時に話す場面では聞き取りにくくなります。
Cさんは、両耳に耳かけ型補聴器を装用し、静かな場所であれば、なんとか会話を聞き取れます。正面で向き合えば、声だけでなく、口元の動き、表情、視線なども手がかりにできます。また、Cさんがこちらの話しかけに気づいているかも確認できます。
補聴器は残っている聴力を活用して音声を聞き取りやすくする医療機器ですが、装用すればすべての言葉が正常に聞こえるわけではありません。大声で話せば必ず聞き取りやすくなるわけでもなく、音がひずむ、補聴器がハウリングする、不快に感じるなどの可能性があります。
実際の支援では、どちら側から話すと聞きやすいか、望む声量や速さ、口話・筆談などの方法をCさん本人に確認します。本問では右耳の聴力が比較的保たれていますが、支援者だけで位置や方法を決めず、補聴器装用時の本人の聞こえ方を優先します。
ひっかけポイント
右耳のほうが聞こえやすいことから、右耳元で大声を出す選択肢3を選ばないようにします。補聴器を両耳で使用して会話できるCさんには、まず正面から視覚情報も使えるように話しかけることが適切です。実際の位置や声量は、本人に確認して調整します。
介護実践でのポイント
静かで明るい場所を選び、Cさんの視野に入って視線を合わせ、口元を見やすくして話します。自然な高さの声で、普通より少しゆっくり、はっきり話し、必要以上に怒鳴りません。「この声量で聞こえますか」「どちら側が聞きやすいですか」と本人に確認します。補聴器の装着、電池、ハウリングなども本人と一緒に確認し、聞き取りの変化が続く場合は本人の希望を踏まえて専門職へつなぎます。
選択肢の確認
1.正面で向き合って話しかける。
正しいです。
口元、表情、視線などの視覚情報を利用でき、Cさんが話しかけに気づいているかも確認できます。静かな環境と組み合わせることで聞き取りやすくなります。
2.高音域の声を使って話しかける。
誤りです。
老人性難聴では一般に高音域から聞こえにくくなるため、意図的に高い声を出すことは適切ではありません。自然な高さで、はっきり話します。
3.耳元で,できるだけ大きな声で話しかける。
誤りです。
必要以上の大声は、音のひずみ、補聴器のハウリング、不快感につながることがあります。本人に聞こえ方を確認しながら、普通または少し大きめの声で話します。
4.手話で会話をする。
誤りです。
Cさんが手話を使用しているという情報はなく、補聴器を使用すれば静かな場所で音声会話が可能です。手話は、本人が使用し希望する場合に選択する方法です。
5.からだに触れてから話しかける。
誤りです。
突然からだに触れると驚かせる可能性があります。まずCさんの視野に入り、視線を合わせて話しかけます。触れることは、本人が希望し同意している場合に限って用います。
覚えるポイント
- 老人性難聴では、一般に高音域から聞こえにくくなる。
- 補聴器を装用しても、すべての音声を正常に聞き取れるとは限らない。
- 静かで明るい場所で、正面から口元や表情を見せて話す。
- 高い声や必要以上の大声を避け、自然な声でゆっくり、はっきり話す。
- 聞きやすい側、距離、声量、コミュニケーション方法を本人に確認する。