115AM093|第115回 看護師国家試験 過去問
次の文を読み91~93 の問いに答えよ。 A さん(80 歳、男性、要介護2 )は1 人で暮らしている。 cerebral hemorrhage 脳出血を発症し、急性期 病院で地域連携クリニカルパスに沿って治療が行われた。軽度の右不全麻痺と失語が あるため、回復期リハビリテーション病院に転院した。A さんは自宅退院を希望し ている。退院後はかかりつけの診療所へ通院し、訪問看護と訪問介護を利用する予定 である。 退院2 か月後、訪問看護師が訪問するとA さんの長男から「最近、父がよく話し てくれるようになったが、言いたいことが伝わらずイライラしていることがある。 どう対応していいかわからない」と相談があった。 A さんとのコミュニケーションについて、家族への助言で適切なのはどれか。
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正解: 3
正答
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この問題のポイント
脳血管障害後の失語症患者とその家族とのコミュニケーションにおいて、最も効果的なアプローチは「短く、わかりやすく、ゆっくりと話す」ことである。失語症は言語の処理能力に障害が生じ、情報の理解や発話が困難になるため、長文や複雑な表現は本人のストレスを増加させる。その中で、短文・平易な言葉・一つの話題に集中する姿勢は、双方向のコミュニケーションを支える基本となる。
解説
Aさんは脳出血後の「軽度の右不全麻痺」と「失語」を抱え、話す量は増えているものの、意図が伝わらないことでイライラしている。この状況では、家族が「聞き返す」「訂正する」などの対応は、本人の自尊心を損なうリスクがある。失語症は「話す力」の問題ではなく、情報の「処理力」の問題であり、長時間のやり取りや誤りの指摘は発話意欲を低下させる。代わりに、短く、わかりやすい言葉で話しかけることで、Aさんが話す意欲を維持し、理解を深められる。非言語的サイン(表情、視線、ジェスチャー)も重要で、これらを意識しながら話すことで、より正確に意思を読み取ることができる。
選択肢の確認
1.「A さんに何度も聞き返しましょう」:繰り返し聞き返すと、本人は「話せない自分」との対立を強め、発話意欲が低下する。
2.「A さんが言い間違えたときは訂正しましょう」:訂正は否定的体験となり、発話意況を損なう。
3.「A さんに短くわかりやすい言葉で話しかけましょう」:失語症患者の理解に適した情報量・速度を提供し、双方向のやり取りを可能にする。
4.「A さんの表情よりも言葉での表現を大事にしましょう」:表情や非言語的サインは重要な意思のヒントであり、言葉だけに頼るのは不適切。
覚えるポイント
失語症のコミュニケーションは「短く・ゆっくり・具体的に・非言語も活用」が基本。家族は「話す」ことではなく「理解する」姿勢を大切にし、本人の意図を尊重しながら、丁寧に支えられる。