78PM30|第78回 診療放射線技師国家試験 過去問
高エネルギー光子線に対する固体ファントム使用で正しいのはどれか。
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正解: 4
正答
4.深さスケーリング係数を利用して水中と等価な深さに電離箱を設置する。
この問題のポイント
放射線治療の線量測定では、水ファントムが基準として扱われます。
しかし、実際の品質管理では、取り扱いが簡便な固体ファントムを使うことがあります。
固体ファントムを使う場合は、水とまったく同じ性質ではないため、水中での測定と等価になるように補正して扱います。
このとき重要なのが、
- 深さスケーリング係数
- フルエンススケーリング係数
です。
本問で正しいのは、深さスケーリング係数を利用して、水中と等価な深さに電離箱を設置する という記述です。
解説
高エネルギー光子線の線量測定では、本来は水中の指定深で測定することが基準になります。
しかし、固体ファントムは水と密度や組成が少し異なるため、同じ物理的な厚さでも、水中の同じ深さと完全に等価とは限りません。
そこで、固体ファントム中の深さを、水中での等価深に換算するために用いるのが 深さスケーリング係数 です。
つまり、固体ファントムを使うときは、
「固体ファントム中で何cmの位置に電離箱を置けば、水中の目的深さに相当するか」
を考えて電離箱を配置します。
この換算に深さスケーリング係数を用いるため、選択肢4が正しいです。
深さスケーリング係数とは
深さスケーリング係数は、固体ファントム中の深さと水中の等価深を対応させるための係数です。
係数なので、基本的に単位はありません。
cmやcm^-1のような単位をもつ量ではありません。
また、固体ファントムの材質や光子線の線質によって値が変わることがあるため、入射光子線のエネルギーにまったく依存しないとはいえません。
フルエンススケーリング係数とは
フルエンススケーリング係数は、固体ファントム中と水中での粒子フルエンスの違いを補正するために用いられる係数です。
これも比として扱う係数なので、単位はありません。
cm^-2のような単位をもつわけではありません。
また、指示値の補正に関係する係数ですが、選択肢5のように「電離箱指示値をフルエンススケーリング係数で除する」と単純に表すのは不適切です。
プロトコルで定められた補正係数として扱います。
選択肢の確認
1.深さスケーリング係数の単位は[cm-1]である。
誤りです。
深さスケーリング係数は、水中深さと固体ファントム中の深さを対応させるための比の係数です。
そのため、単位はありません。
cm^-1ではありません。
2.フルエンススケーリング係数の単位は[cm-2]である。
誤りです。
フルエンスそのものにはcm^-2の単位がありますが、フルエンススケーリング係数は水と固体ファントム間の違いを補正するための係数です。
比として扱うため、単位はありません。
3.深さスケーリング係数は入射光子線のエネルギーに依存しない。
誤りです。
深さスケーリング係数は、固体ファントムの材質や光子線の線質に関係します。
したがって、入射光子線のエネルギーに依存しないと断定するのは不適切です。
4.深さスケーリング係数を利用して水中と等価な深さに電離箱を設置する。
正しいです。
固体ファントムを用いる場合、物理的な深さをそのまま水中深さとみなすのではなく、深さスケーリング係数を使って水中等価深に合わせます。
これが本問の正答です。
5.等価な深さの水中での指示値に変換するために、電離箱指示値をフルエンススケーリング係数で除する。
誤りです。
フルエンススケーリング係数は指示値補正に関係しますが、「除する」と単純に決める記述は不適切です。
実際には、測定プロトコルに従って、固体ファントム中での指示値を水中等価条件に補正します。
覚えるポイント
固体ファントムを使うときは、水ファントムとの違いを補正して扱います。
- 水ファントム:線量測定の基準
- 固体ファントム:扱いやすいが、水と完全に同じではない
- 深さスケーリング係数:水中等価深を決めるために使う
- フルエンススケーリング係数:水と固体ファントム間のフルエンス差を補正する
- どちらも係数なので、基本的に単位はない
この問題では、固体ファントム内で電離箱を水中等価深に設置するために深さスケーリング係数を用いる、という記述が正しいため、正しい選択肢は
4.深さスケーリング係数を利用して水中と等価な深さに電離箱を設置する。
です。