61AM032|第61回 理学療法士国家試験 過去問
加齢による筋萎縮の理学療法で最も適切なのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 3
正答
3.抗重力筋の筋力トレーニングを実施する。
この問題のポイント
加齢による筋萎縮(サルコペニア)では、特に「姿勢保持」「立ち上がり」「移動」に必要な抗重力筋の機能低下が、転倒リスクの上昇や日常生活動作(ADL)の維持に直接影響します。そのため、理学療法の介入において最も重要なのは、これらの筋群の強化です。
解説
高齢者では、筋肉の量や力が減少し、特にType II(速筋)線維が優先的に萎縮します。このことにより、瞬発力や立ち上がり時の筋力が低下し、転倒のリスクが高まります。その中で、大腿四頭筋、殿筋、脊柱起立筋など、体を支えたり、立つための動作に直接関与する抗重力筋の強化が、日常生活の自立性を維持する上で最も効果的です。
これらの筋群を対象とした継続的・中等度のレジスタンス運動は、転倒予防とADLの維持に直接つながり、臨床的にも強く支持されています。
選択肢の確認
1.短期間で集中的に実施する。
→ 高齢者には過負荷のリスクが高く、長期的・継続的な介入が適切。短期集中は安全を損なう可能性がある。
2.Type Ⅰ線維の筋力向上を優先する。
→ 加齢ではType II線維が優先的に萎縮するため、Type Iの強化は重要ではない。
3.抗重力筋の筋力トレーニングを実施する。
→ 姿勢保持や立ち上がりに不可欠な筋群の強化が、転倒予防・ADL維持に直接効果的。正解。
4.集団運動は併存疾患のない者を対象とする。
→ 併存疾患があっても、リスク管理のもとで適切に運動を導入できる。対象を絞るのではなく、個別評価が重要。
5.レジスタンス運動は最大負荷の90 % で実施する。
→ 高齢者は負荷過多のリスクが高い。一般に60〜80%程度の低〜中強度が推奨される。
覚えるポイント
「加齢性筋萎縮では、抗重力筋の強化が最優先。Type II線維の萎縮が主因で、転倒予防に直結する。」
→ これを頭にいれて、高齢者の運動療法設計の第一歩に活かす。