60AM013|第60回 理学療法士国家試験 過去問
17 歳の男子。2 か月前の体育の授業中に左膝の痛みに気付いたが、放置してい た。最近は歩行時の左膝の痛みが出現したため病院を受診した。精査の結果、左大 腿直筋の平滑筋肉腫と診断され、左大腿四頭筋の広範囲切除術が施行された。術後 の左膝の関節可動域は屈曲120°、伸展-10°でMMT は屈曲4 、伸展3 であった。 最も適切な補装具はどれか。
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正解: 3
正答
3.両側金属支柱付膝装具
この問題のポイント
大腿四頭筋の広範囲切除により、膝伸展筋力が低下(MMT3)し、伸展ラグ(-10°)が生じている。この状態では膝関節の安定性が極めて重要で、特に膝折れを防ぐために膝関節の直接制御が必要となる。補装具の目的は、関節の不安定性を補い、歩行中の膝の過度な屈曲を防ぐことである。
解説
本症例では、左大腿四頭筋の広範囲切除により、膝の伸展筋力が著しく低下しており、関節可動域は屈曲120°、伸展-10°とされている。この「伸展ラグ」は、筋力不足により膝が自然に屈曲状態に留まってしまうことから、歩行中に膝折れ(膝の過度な屈曲)が発生するリスクが高い。
このため、補装具として最も適切なのは「両側金属支柱付膝装具」である。この装具は、膝関節を直接支え、伸展方向にロック機能をもつことで、膝折れを防ぎ、歩行中の膝の安定性を確保できる。また、足関節や股関節には異常がなく、足の制御や足関節の動きを補う必要がないため、長下肢装具や短下肢装具の使用は不要である。
補装具の選択においては、筋力補助(MMT3)があることから、完全な免荷ではなく、関節の制御を重視する必要がある。PTB式免荷装具は骨折時の免荷に適しており、本症例では筋力補助が必要なため不適切。車椅子は歩行可能であれば必要ない。長下肢装具は足関節も制御するが、本症例では膝の制御が主な課題であり、過剰な装備となる。
選択肢の確認
1.車椅子:MMT3ありで歩行は可能。車椅子依存は適切でない。
2.PTB 式免荷装具:骨折時用。筋力補助が必要なため不適切。
3.両側金属支柱付膝装具:膝の安定性を確保できる。最も適切。
4.両側金属支柱付短下肢装具:足関節制御に限界。膝の直接制御が求められるため不十分。
5.両側金属支柱付長下肢装具:膝・足の両方を制御するが、本症例では膝の問題が主で過剰。
覚えるポイント
「筋力低下+伸展ラグ=膝折れリスク」→「膝装具で直接制御」。膝の安定性が最も重要で、関節の制御に特化した装具が最適。