111Q279第111回 薬剤師国家試験 過去問

58 歳女性。2 年前に右乳房の浸潤性乳管がんと診断され、右乳房全切除及 び腋窩リンパ節郭清が施行された。病理検査の結果、ホルモン受容体陰性、 HER2 に対する免疫組織化学染色 1+の HER2 低発現乳がんと診断され、術後補助 療法として放射線治療(胸壁・鎖骨上窩照射)が施行された。半年前、局所再発及 び肺転移が確認され、ドキソルビシン+シクロホスファミド併用療法にて全身化学 療法が開始された。初期には治療が奏効していたが、4 コース後に画像上で肺転移 及び鎖骨上窩リンパ節の増大を認めた。今回の入院では、トラスツズマブ デルク ステカンを導入することになった。 トラスツズマブ デルクステカンは抗体薬物複合体(ADC)である。本 ADC の 特徴に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

2つ選択
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正解: 3・5

正答

3・5

この問題のポイント

抗体薬物複合体は抗原を認識する能動的ターゲティング製剤で、受容体介在性に細胞内へ入り、リソソームで薬物を放出します。

解説

トラスツズマブ デルクステカンは、抗HER2抗体にトポイソメラーゼI阻害薬を切断可能なリンカーで共有結合させたADCです。抗体がHER2へ特異的に結合するため能動的ターゲティングに該当し、複合体は受容体介在性エンドサイトーシスで細胞内へ取り込まれます。その後、リソソーム内で抗体・リンカーが分解され、薬物が遊離して抗腫瘍作用を示します。単なる濃度勾配による受動輸送ではありません。また本剤の薬物抗体比は約8であり1ではありません。遊離薬物の膜透過性により近傍細胞へ作用するバイスタンダー効果も特徴です。

選択肢の確認

1.抗体と薬物の結合は非共有結合である。:リンカーを介する共有結合です。
2.薬物抗体比(抗体1 分子あたりの結合薬物数)は1 である。:約8で、1ではありません。
3.能動的ターゲッティング製剤である。:正答。抗体がHER2を認識します。
4.受動輸送で細胞内に取り込まれる。:受容体介在性エンドサイトーシスです。
5.リソソーム内で分解されて、薬物が遊離される。:正答。細胞内でペイロードを放出します。

覚えるポイント

ADCは「抗原結合→内在化→リソソーム分解→薬物放出」。抗体、リンカー、ペイロードの三要素で理解します。

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