111Q224|第111回 薬剤師国家試験 過去問
72 歳女性。嗄声が継続していたため近医を受診した。胸部 X 線検査で右肺 腫瘤を指摘され、総合病院呼吸器内科を紹介受診した。精査の結果、cT2N3M1b、 Stage ⅣA の非小細胞肺がん(腺がん)と診断された。パフォーマンスステータス (PS)0 。EGFR 遺伝子変異陰性、ALK 遺伝子転座陰性、ROS1 遺伝子転座陰性、 BRAF 遺伝子変異陰性、PD-L1 ≧ 50%。一次治療としてペムブロリズマブが投与 されることになった。 本治療には、腫瘍抗原に対する T 細胞の免疫応答と、この免疫応答を調節する ための免疫チェックポイントの機能が関わっている。T 細胞の免疫応答に関する記 述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
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正解: 1・5
正答
1・5
この問題のポイント
T細胞活性化の補助刺激と、CTLA-4系・PD-1系の抑制性チェックポイントを、結合相手まで正確に整理します。
解説
樹状細胞は取り込んだ腫瘍抗原を処理し、MHCクラスⅡを介してCD4陽性ヘルパーT細胞へ提示します。T細胞の十分な活性化には、抗原認識に加え、抗原提示細胞のCD80/CD86とT細胞のCD28との結合による補助刺激が必要です。これに対し、CD80/CD86がCTLA-4と結合すると抑制性シグナルが入ります。制御性T細胞も免疫応答を抑える側に働きます。また、がん細胞などのPD-L1がT細胞のPD-1に結合するとキラーT細胞の機能が抑制されます。ペムブロリズマブはPD-1を遮断してこのブレーキを解除する抗体であり、PD-L1とCD28の組合せではありません。
選択肢の確認
1.樹状細胞は、ヘルパー T 細胞に腫瘍抗原などの抗原を提示する。:正答。樹状細胞は代表的な抗原提示細胞です。
2.T 細胞のうち、腫瘍抗原に対する免疫応答を増強する細胞を制御性 T 細胞とよ ぶ。:誤り。制御性T細胞は免疫応答を抑制します。
3.抗原提示細胞の CD80/CD86 は、細胞傷害性 T リンパ球抗原-4(CTLA-4)と 結合することによりキラー T 細胞の活性化に必要な補助刺激シグナルを伝える。:誤り。CTLA-4との結合は抑制性で、補助刺激はCD28との結合です。
4.がん細胞の PD-L1 は、CD28 と結合することによりキラー T 細胞の活性化に 必要な補助刺激シグナルを伝える。:誤り。PD-L1の相手はPD-1で、作用も抑制性です。
5.がん細胞の PD-L1 は、PD-1 と結合することによりキラー T 細胞に抑制性の シグナルを伝えて免疫応答を抑える。:正答。代表的な免疫チェックポイントです。
覚えるポイント
CD80/CD86―CD28は活性化、CD80/CD86―CTLA-4とPD-L1―PD-1は抑制です。